
「無関心」を打破し、優しいセーフティネットを編む挑戦【株式会社Ridilover】
update: 2026.10.10
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「無関心」を打破し、優しいセーフティネットを編む挑戦【株式会社Ridilover】
株式会社Ridilover 代表 安部敏樹さん インタビュー
はじめに
「社会課題」と聞くと、どこか重たく、自分とは遠い場所にあるもののように感じる人も多いかもしれません。しかし、「社会課題は、人類が生き残り進化してきた原動力そのものである」と語るのが、株式会社Ridilover(リディラバ)の安部敏樹さんです。
社会の「無関心」という根本的な課題に挑み、年間1~2万人規模の教育旅行やスタディツアーの提供から、調査報道、事業開発、そしてソーシャルファンドまでを展開する同社。今回は代表の安部さんに、独自の問題意識と事業の全貌、そして誰もが関わりやすい「優しいセーフティネット」が存在する未来についてお話を伺いました。
社会課題とは何か――少数の困りごとを「群れの資源」で解く進化のエンジン
――まず、安部様が考える「社会課題」の定義について教えていただけますか。
安部さん:
僕らの考え方として、社会課題とは一言でいうと「人類が拡大し、生存していくためのエンジン」だったという捉え方をしています。
本来、群れ(社会)の中にいる誰かが困りごとを抱えたとき、それを個体だけで孤立させて対処させようとすると、なかなか十分な資源が集まり解決に至りません。しかし実際は、たとえ非常に少数のための問題であったとしても、「多数が資源を提供することで解決へ持っていける」ということで人類は進化してきました。
社会課題とは、そうした進化のエンジンであると考えています。
「無関心」を「関心」に変える――スタディツアーからファンドまで広がる事業
――その社会課題に対して、御社ではどのような事業を展開されているのでしょうか。
安部さん:
僕らの理念の根底には「社会の無関心」という課題意識があります。
社会問題と呼ばれるものは、当事者以外はあまり関心がないため、助けも支援も提供されません。だからこそ、まずはそこに関心を持ってもらうための仕組みを作ることが、僕らの事業の基本スタイルです。
始まりは「スタディツアー」という、社会問題の現場に学びに行く旅行商品でした。これを中高生の修学旅行や教育旅行に使ってもらえるようになり、今では同世代の1~2%にあたる毎年1万~2万人の子どもたちが課題の現場を訪れ、解決策をみんなで考えていく文化が育ってきています。
そこから派生して、調査報道の事業や企業の研修、さらにはビジネスや政策を作る事業開発へと広がっていきました。最近ではファンドの運用にも携わっており 、お金の力も使って社会問題を解決するという、資本主義そのものの仕組みを新しく作り直すことにも挑戦しています。
「関わり方」は人それぞれでいい――動機のきっかけを多層的に用意する
――「優しさ」や「助け合い」を持続可能なものにするために、どのような工夫をされているのでしょうか。
安部さん:
僕らは「社会課題に関わる動機の入り口を、何層にも重ねて作っておくこと」を大切にしています。
人間の善性を信じて純粋な共感や優しさから行動する人もいれば、自分の利益やビジネスのメリットになるから関わる人もいます。あるいは「子どもの為になるから教育の場として関わる」「飲み会で友人に話せる話題(自慢)になる」といった理由でも全然いいと思うんです。
困っている人を助けようとするインセンティブは、実は人間側の複雑な絡み合いの中で行われています。だからこそ、社会課題に関わる理由はひとつに絞る必要はありません。
なるべくたくさんの理由やきっかけを作り、それを組み合わせて提供することで、より多くの人が自分に合った形で自然と関われるようになると考えています。
社会の「当たり前」を新しくアップデートしていく挑戦
――事業開発やファンドを通じて、社会をどのように変えていきたいと考えていますか。
安部さん:
資本主義や市場のルールをハックして、社会の空気感や「価値がある」とされる基準そのものを変えていきたいと思っています。 生物の進化で言うと「孔雀の羽」の話に似ています。孔雀のオスは大きく派手な羽を持っていますが、捕食されやすくなるだけで生存には本来不利です。
しかし、それが「群れの中での評価(強さの証)」として定着したことで、羽が大きいものが淘汰を勝ち残るようになりました。 これと同じで、「社会課題に取り組むこと」が群れの中での評価として定着し、全体の過半数(51%)の人たちがそれを信じれば、世の中のゲームのルールはガラリと変わります。
そうやって、ソーシャルグッドな方向へ自然と資源が集まるように淘汰をかけることで、たった10人の当事者しかいない課題に対しても、何千万人もの力を使って解決できるような、協調的で強い社会を作っていきたいですね。
目指す未来――優しい関心のセーフティネットが機能している社会
――最後に、御社が最終的に目指している社会像について教えてください。
安部さん:
僕らはよく「優しい関心のセーフティネットが機能している社会」と言っています。
他人事にせず、誰かの困りごとを時々「自分事」として捉えられるようになっていること。
困っている人がいれば社会が自然と手を差し伸べてくれて、自分が困る側になったとしても安心して暮らしていける。
そんな社会を目指して、これからも取り組んでいきたいですね。
おわりに
「困りごとを孤立させず、みんなの資源で解決する」という人類本来の強みを、時代に合わせた仕組みとしてアップデートし続ける株式会社Ridilover。
特定の思いや善意だけに依存するのではなく、誰もが自分らしいきっかけで関われる「優しい関心の網目」を広げていく同社の挑戦は、これからの未来をつくる学生にとっても大きなヒントになるはずです。
update: 2026.10.10




