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「好き」から始まる社会貢献——丸井グループが挑む、インパクトと利益を両立させる経営【株式会社丸井グループ】

「好き」から始まる社会貢献――丸井グループが挑む、インパクトと利益を両立させる経営【株式会社丸井グループ】

株式会社丸井グループ 人事 大沢翔さんインタビュー

はじめに

「丸井=商業施設」。多くの学生が抱くこのイメージは、いまの丸井グループの一面にすぎません。小売・フィンテック・共創投資の三つの事業を掛け合わせ、「インパクト(社会課題の解決)と利益の両立」を経営の軸に据える——。かつて経営危機を経験した企業が、なぜ社会課題の解決へと舵を切り、どのような哲学で事業を営んでいるのか。

今回は、丸井グループで人事を担う大沢さんに、事業の全体像から、ビジョン2050に込めた思い、「好き」を入り口とする独自のビジネス観、そして就活生へのメッセージまで、じっくりとお話を伺いました。

三位一体のビジネス――小売・フィンテック・共創投資

――まず、丸井グループの事業を、大学生にもわかりやすく教えてください。

大沢さん:
事業は大きく三つに分かれます。小売事業、フィンテック事業、そして共創投資です。
最もイメージしやすいのは小売事業で、マルイ・モディの店舗やオンライン(EC)を通じて、あらゆる商品の販売とお客様との接点づくりを行っています。
フィンテックは、クレジットカード「エポスカード」の発行を通じて、決済や金融サービスを提供する事業です。カードを起点に、お客さまと長期的な関係を築き、一人ひとりのライフステージに寄り添った価値を提供しています。
そしてもうひとつ力を入れているのが共創投資です。スタートアップへの出資やその先の協業を通じて自社だけでは実現できないことに取り組んだり、新たな事業の種となるアイデアを社内外から募るビジネスコンテストを企画したりしています。

大切なのは、これらが独立しているのではなく、三つが掛け合わさって「三位一体」で機能している点です。ここが丸井グループの大きな特徴だと思います。

百貨店からの転換――存在意義を問い直したミッション・ビジョン

――長く小売業を営んできた丸井グループが、社会課題の解決に踏み出した背景を教えてください。

大沢さん:
転換点は、2019年にミッション・ビジョンを制定したことです。それまでは「良いものをお安くカードで便利に売る」という考えに沿って小売事業に注力してきました。ある意味では大量生産・大量消費の一翼を担っていた面もあったかもしれません。
しかし2000年代に貸金業法改正とリーマンショックの影響で二度の赤字を経験し、自社の事業や存在価値そのものを問い直す必要がありました。時代の流れも踏まえ、一度立ち止まり、「本当にこのままでいいのか」「持続的に成長していけるのか」と考えたとき、「いや、そうではない」と立ち止まって考え直すことができた。企業としての存在意義を新たに定義して前へ進もうとした——それがミッション・ビジョンの制定へと振り切るきっかけだったのだと思います。

丸井グループビジョン2050――インパクトと利益の両立

――御社が打ち出した「丸井グループビジョン2050」は、どのようなものなのでしょうか。

大沢さん:
「丸井グループビジョン2050」は、一言でいえば「インパクト(社会貢献・社会課題の解決)と利益(ビジネス)の両立」です。この二つを両立させることで、ミッションである「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」ことを実現する。これは丸井グループが社会に向けて自社の存在意義を宣言したものです。

――ビジョンの中では、顧客や株主に加え、「将来世代」もステークホルダーのひとつに加えられていますね。

大沢さん:
これは丸井グループの意思表示です。ミッション冒頭の「すべての人」とは、いま目の前にいる人だけではない。これから生まれてくる子どもたち、将来世代までを含めて「すべての人」と捉えています

「丸井グループビジョン2050」の作成にあたっては、中学生130人にワークショップに参加してもらい、これからの社会を担う子どもたちがどんな社会を望んでいるのかも参考にしました。将来世代の声や考えも共創の輪に加え、共に取り組んでいく——それが私たちのメッセージです。

――具体的にはどんな課題の解決に取り組んでいるのでしょうか。

大沢さん:
あらゆる社会課題が山積する中で、すべての課題に対応できるとは考えていません。だからこそ、取り組むテーマを「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『好き』が駆動する経済を創る」「働く人の『フロー』を生み出す社会を創る」という3つのインパクトに絞っています。

「将来世代の未来を共に創る」という分野では、再生可能エネルギーの利用を広げる「みんな電力エポスプラン」を始めたり、茨城県の太陽光発電所を取得したりして、2030年までにCO₂排出量100t以上の削減を目指しています。
お客様にご利用いただいているエポスカードも、単なるクレジットカードではなく、世界中の貧困や医療の課題に対して気軽に寄付が行える仕組みを設けていて、誰も置き去りにならない金融を実現したいと考えています。

「好き」を入り口にする――動いていない層を動かす

――社会課題解決とビジネスの成功は、二項対立で語られがちです。どう両立させているのでしょうか。

大沢さん:
丸井グループが大切にしているのは、「好き」を入り口にすることです。「この商品を買えば社会課題の解決につながりますよ」というメッセージに反応するのは、もともと意識が高く、すでに行動している人。世の中の34割、もっと少ないかもしれません。その層だけが動いても社会は大きくは変わりません。本当に大切なのは、まだ動いていない人たちにどう動いてもらうかです。

そのためのカギが「好き」だと気づいたのです。「好きなことを楽しんでいただけなのに、知らないうちに誰かの課題解決につながっていた」——そのほうが、無理なく、ストレスなく前に進む。社会課題の解決を意識させず、親しみやすさと取っつきやすさで課題の解決へとつなげていく。それが丸井グループの目指す世界観です。

三つの企業文化――挑戦・共創・インクルージョン

――丸井グループが大切にしている企業文化を教えてください。

大沢さん:
重要な企業文化が三つあると考えています。一つ目は「挑戦を通じた人の成長」、二つ目は「共創」、三つ目は「インクルージョン」です。

――その文化は、どのように生まれたのでしょうか。

大沢さん:
丸井グループは、かつては成果主義で上意下達の色が濃く、社員も同質的でした。バブル期以降は業績も停滞し、挑戦が生まれずイノベーションも起こらない。そして二度の赤字を経験したとき、いまのトップである青井(社長)は目先の業績改善策ではなく、「この状況を生んでいる原因は、企業風土や文化という根っこにあるのではないか」と考え、あらゆるものをこれまでと正反対に変えていきました。それが、いまの企業文化の出発点です。

例えばかつての会議は、スーツを着た管理職以上しか出席できませんでした。それを「手挙げの文化」——意欲さえあれば誰でも手を挙げて挑戦できる仕組み——に変えたのです。すると、これまで参加できなかった若手も、正社員以外も、短時間勤務の人も加わり、自分の意見を発信できるようになった。こうして業績も上向いていきました。

「共創」は、もともと丸井グループにあったものです。創業者——いまの青井は三代目ですが、その初代——が、金融ビジネスにおいて「お客さまの信用は企業が一方的に与えるものではなく、お客さまと共に育み築くものだ」と考えていた。これが共創の原点で、DNAとして受け継がれています。
この「共に価値をつくる」という考え方は金融の枠を超え、事業にも広がりました。自社だけで完結するのではなく、スタートアップと手を組んだり、社外からアイデアを募ったりする発想へと広がっていきました。「インクルージョン」の考え方も同じ文脈にあります。同質化するとイノベーションが生まれにくいという経営危機での学びから、多様な人や価値観を受け入れ、その違いを強みに変えて新たな価値を生み出そうという考え方が育まれました。
世の中の多くの企業にとって、インクルージョンは取り入れた方が良いものだと思いますが、丸井グループにとってのインクルージョンはなければ成り立たないものです。その証拠にミッションやビジョン、事業戦略に至るまですべてのものがインクルージョンを前提として作られています。
「好き」を応援するビジネスも一人ひとりの「好き」、つまり「個性」を受け入れるところが出発点ですから。

研修とキャリア――「キャリアは自分でつくり上げる」

――入社後の研修やキャリアの広がりを教えてください。

大沢さん:
入社後の半年間は、本社での集合研修と、各店舗に配属しての店舗研修です。店舗は、三位一体の事業がお客さまと接する最前線であり、価値が実際に届けられる場所です。だからこそ、自分がこれから企画する事業やプロダクトがどう届き、どんな課題があるのかを、店舗で実際に見てきてほしいのです。

その後は「キャリアは自分でつくり上げる」という丸井グループの基本的な考え方に沿って進みます。半年に一度、「こんなキャリアを描きたい」「この部署で働きたい」、そもそも異動を希望するかどうかも含めて会社に伝える機会があり、それをもとに人事が配置を決めます。なので、百人いれば百通りキャリアがあります。すでに社会人になってやりたいことが見つかっている方はもちろん、自身のやりたいことを働きながら様々な経験をすることを通じて見つけていきたい方に特にオススメの企業だと思います。
加えて、自ら手を挙げ、挑戦できる機会も数多く用意されており、例えば、社内のビジネスコンテストで提案が採択されれば、新入社員でもプロジェクトのリーダーとして自身の実現したいことの具現化にチャレンジできます。その点で、若手であっても裁量は大きく与えられていると感じます。

――丸井グループに向いているのは、どんな人材でしょうか。

大沢さん:
わたしたちが大切にしていることとの重なりさえあれば、「どんな人でも活躍できる」と思います。先ほどお話した通り、丸井グループは一人ひとりの個性を活かすインクルージョンの考え方を前提にビジネスをおこなっている企業ですので、わたしたちが大切にしていること、例えばミッションやビジョン、好きを通じた社会貢献、共創、挑戦を通じた成長などのコアの部分に深い理解と共感を示していただける方であれば、どのような方でも大歓迎です。
性別・国籍・経験・スキルなどを問わず、多様な人が出入り自由に集まり、その一人ひとりが好きや得意を活かしてイキイキと働く、それが丸井グループの目指していることであり、われわれ人事部が今まさに取り組んでいることです。

 

就活生へのメッセージ――「自分を知ることが八割」

――社会課題の解決に関心はあるけれど一歩を踏み出せない、自分のやりたいことと企業の社会的意義をどう結びつければいいかわからない——そんな学生へメッセージをお願いします。

大沢さん:
就職活動は、「自分を知ることが八割」だと思っています。これまでの人生の棚卸を通じて、自身の価値観をどこまで掘り下げられるかにかかっています。
例えば、社会課題と一口に言っても本当に幅広く、多様な課題が世の中にはあります。その中でも自分はどんな社会課題を、どのようなアプローチで解決したいのか、toCなのかtoBなのか、プラットフォーマーなのかプレーヤーなのかといったことです。ただ、そういったことを自身の頭の中だけで考える必要はありません。興味のあることも、そうでないことも、人に勧められたことも自分で始めたことも、学生生活のなかでいろいろ手を出し、挑戦してみる。やってみて初めて、合う・合わない、好き・嫌いがわかる。そうして価値観や判断軸が固まってきて、ようやく納得のいく企業選びもできるようになると思います。なので、学生の皆さんには様々なことにチャレンジしてもらいたいですね。

 

おわりに

「丸井グループは、一度中に入ってみるととても味わい深い企業」——大沢さんの言葉どおり、商業施設というイメージの奥には、経営危機を機に企業文化そのものを問い直し社会課題と向き合うに至るという、独自の物語がありました。

インパクト(社会課題解決)と利益の両立を自社の存在意義として社会に宣言することで、あえて自らの逃げ場をなくす。その本気度こそが、単なるCSRとの違いだと大沢さんは語ります。

「好き」から始まる社会貢献を、ビジネスとして本気で実現していく丸井グループ。社会課題解決を仕事にしたいと考えるなら、多様で幅広い丸井グループの世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

update: 2026.8.12