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砂漠化とは?原因・影響から最新の対策まで、わかりやすく解説

update: 2025.1.27

砂漠化とは?原因・影響から最新の対策まで、わかりやすく解説

砂漠化は年間1,200万ヘクタールもの土地を劣化させ、世界の食料生産と生態系を脅かす深刻な環境問題です。日本に住む私たちの生活にも、黄砂や食料価格の上昇という形で確実に影響を及ぼしています。地球規模で進行するこの問題について、正しい知識を身につけ、できることから行動を始めましょう。

砂漠化とは?原因・影響から最新の対策まで、わかりやすく解説

砂漠化とは?定義と概要

砂漠化は、乾燥地域や半乾燥地域で起こる深刻な環境問題です。国連環境計画(UNEP)では、「乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における土地の劣化」と定義しています。一般的に考えられているような単なる砂漠の拡大ではなく、人間活動による環境破壊が主な原因となっています。

砂漠化のプロセスは、まず植物が減少することから始まります。植物が減ると土壌が露出し、風や雨で表土が流されていきます。土壌が劣化すると、さらに植物が育ちにくくなり、最終的には土地が完全に荒廃してしまいます。

ただし、砂漠化は完全に不可逆的な現象ではありません。適切な対策を講じることで、土地の回復も可能です。世界各地で行われている緑化プロジェクトでは、砂漠化した土地を肥沃な土地に戻すことに成功している事例も報告されています。

 

砂漠化と砂漠の違いとは

「砂漠」と「砂漠化」は、似たような言葉ですが、本質的に異なります。砂漠は自然の生態系であるのに対し、砂漠化は環境問題の一つです。

砂漠は、サハラ砂漠のように自然に形成された乾燥地帯で、独自の動植物が適応して生息しています。形成には数千年という長い時間がかかり、安定した生態系が築かれています。

これに対し砂漠化は、人間活動による環境破壊が主な原因です。過放牧や森林伐採などにより、わずか数年から数十年という短期間で土地が劣化していきます。その結果、農地や牧草地が失われ、本来の生態系も破壊されてしまいます。

最大の違いは、砂漠が自然の一部として存在する一方、砂漠化は人為的な対策で防ぐことができる点です。適切な土地管理や植林活動により、砂漠化の進行を食い止め、荒廃した土地を回復させることも可能です。

なぜ砂漠化は問題なのか?

砂漠化によってどのような問題が発生しているのでしょうか。5つの項目に整理して解説していきます。

1. 食料不足の悪化

砂漠化は農地を荒廃させ、食料の生産量が大幅に低下するため、特に発展途上国では深刻な食料不足を引き起こします。乾燥地域での農作物の育成が難しくなり、農業収入が減少するため、多くの人々が貧困に直面します。

2. 生態系の崩壊

砂漠化によって植物が失われると、動物たちも生息地を失い、生物多様性が急激に減少します。この結果、地域の生態系がバランスを崩し、土壌がさらに劣化する悪循環が生まれます。生態系の破壊は、土壌の安定性や地域の気候にも悪影響を及ぼします。

3. 気候変動の促進

砂漠化した土地では、土壌が炭素を吸収する能力を失い、温室効果ガスが大気中に留まりやすくなります。また、砂漠化によって発生する砂嵐は地球温暖化を助長するため、気候変動の悪化が懸念されています。気候変動により乾燥化が進むことで、砂漠化も一層加速するリスクがあります。

4. 経済的損失

砂漠化の進行は農業や畜産業など地域の主要産業を衰退させ、地元経済に多大な損失をもたらします。特に農業に依存する人々にとっては生活が困難になり、経済的に困窮する要因となります。こうした経済的損失は、地域のインフラや社会福祉にも影響を及ぼします。

5. 移住や難民問題の増加

砂漠化により生活の基盤を失った人々が他地域へ移住を余儀なくされ、移住先での居住地や資源を巡る争いの原因となることがあります。これにより、国際的な難民問題が増加し、社会的な安定も脅かされます。

このように砂漠化は環境的にも経済的にも多くの問題を生んでいるのです。

砂漠化が起きる原因とは

 

砂漠化が発生する原因はなんでしょうか。大きく分けると6つの原因が考えられています。

 

1. 気候変動による影響

気候変動により、乾燥した地域での降水量が減少し、気温が上昇することで土壌の水分が蒸発しやすくなります。これにより、植物が生育しにくい環境となり、土地が劣化して砂漠化が進みます。特に乾燥地域での気候変動の影響は深刻です。

2. 森林伐採と土地の開発

森林は土壌を守る役割を果たしていますが、無計画な森林伐採や開発が進むと、土壌がむき出しになり、浸食されやすくなります。特に農地や牧草地の拡大のために大量の木々が伐採されると、土地の保水力が低下し、砂漠化が加速します。

3. 過放牧

放牧地で家畜の数が多すぎると、草が食べ尽くされ、土壌がむき出しの状態になります。この状態で雨や風が加わると、土壌が浸食され、土地が劣化します。過放牧は草原地帯の砂漠化を促進する要因の一つです。

4. 不適切な農業の影響

過剰な農地開発や過度な耕作は土壌の栄養分を奪い、農地を荒廃させます。例えば、乾燥した土地で水を大量に使う灌漑(かんがい)農業を行うと、地中の塩分が表層に溜まり、塩害が発生します。この塩害によって植物が育たなくなり、土地が砂漠化します。

5. 都市化とインフラ開発

都市の拡大やインフラ整備のために自然地が削られ、緑地や農地が失われることも砂漠化の一因です。アスファルトやコンクリートで覆われた土地は、水を吸収せずに排水するため、土壌が劣化しやすくなります。

6. 貧困と人口増加

貧困に苦しむ地域では、短期的な利益を求めた土地の乱用が行われることが多く、資源の持続可能な利用が難しくなります。また、人口増加により土地の利用圧力が増し、結果的に砂漠化が進行することがあります。

世界の砂漠化の現状

 

特に砂漠化が進行しているとされる3つの地域について解説します。

 

アフリカ(サハラ砂漠周辺のサヘル地域)


サヘル地域では、頻発する干ばつや過放牧、森林伐採が原因となり、砂漠化が急速に進んでいます。干ばつの影響で土地の水分が失われやすくなり、草地や森林が失われることで、土壌がむき出しのまま風に飛ばされやすくなります。こうした影響から、サヘル地域では食料不足や貧困が深刻な問題となり、多くの住民が移住を余儀なくされています。

アジア(中国・内モンゴル自治区、インド・ラジャスタン州)


内モンゴル自治区やラジャスタン州では、人口増加に伴う過度な農地開発や森林伐採、不適切な灌漑(かんがい)による塩害が原因で砂漠化が進行しています。無計画な農地開発が進むことで、土地が荒廃しやすく、土壌の劣化が進んでいるのが現状です。これにより農地が荒廃して食料供給が減少し、周辺地域の住民の生活が打撃を受けています。

中東(イラク、シリアなど)


イラクやシリアでは、長期的な干ばつや戦争によるインフラの破壊に加え、過度な水の利用が原因で砂漠化が進んでいます。戦争により農地や水源の管理が行き届かなくなり、河川からの水量が減少したことで、灌漑が困難な状態が続いています。その結果、食料生産が低下するだけでなく、砂嵐の発生も増加し、多くの住民が貧困に直面し、移住を余儀なくされる状況にあります。

これらの地域では、自然的な要因(干ばつや気候変動)と人為的な要因(過放牧、森林伐採、戦争による土地荒廃)が複雑に絡み合い、砂漠化が加速しています。この問題に対処するためには、持続可能な土地利用や国際的な協力が不可欠です。

日本と砂漠化の関係性

 

日本は直接的に砂漠化の影響を受ける国土ではないものの、砂漠化が進む世界の状況と密接に関わっています。

 

まず、日本は多くの食料を輸入に頼っているため、砂漠化による農地の荒廃は食料供給に影響を与えかねません。砂漠化が進むと生産性が低下し、食料価格の上昇が懸念され、日本の食料安全保障が脅かされる可能性があります。

 

また、日本は国際協力の一環として砂漠化対策に積極的に貢献しています。国連砂漠化対処条約(UNCCD)を通じ、アジアやアフリカでの植林や持続可能な農業の推進を支援し、技術や資金面での協力を行っています。日本の取り組みは、砂漠化を防ぐだけでなく、地球環境の保護や持続可能な社会の実現に寄与するものです。

 

国連砂漠化対処条約(UNCCD)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/sabaku/index.html

砂漠化対策の最前線

国際的な対策: 国連砂漠化対処条約(UNCCD)と各国の政策


国連砂漠化対処条約(UNCCD)は1994年に採択され、砂漠化の防止と土地の劣化対策を推進しています。この条約のもとで、各国が砂漠化の進行を防ぐための政策を打ち立て、土地の回復や持続可能な管理を目指しています。また、UNCCDの締約国会議(COP)は定期的に開催され、国際的な議論と対策強化が図られています。

植林活動


各国での植林活動は砂漠化対策の主要な施策です。例えば、中国の「三北防護林プロジェクト」は、砂漠化を抑制するための世界最大の人工林を形成しており、アフリカの「グリーン・ウォール・イニシアチブ」では、サハラ砂漠周辺に植林を進め、砂漠化防止と地域の経済活性化を図っています。

持続可能な農業の推進


砂漠化地域では持続可能な農業技術が導入され、土地の負荷を減らしながら生産性を高める工夫がされています。具体的には、保水力の高い土壌改良や、ドローンを用いた効率的な植林が行われ、適切な水管理や土壌の保全が進められています。

地下水の管理


地下水の過剰な利用は土地の乾燥化を招きやすいため、適切な地下水管理が不可欠です。塩害を防ぐため、適切な灌漑方法が推奨され、また水の使用を最小限に抑える灌漑技術が普及しています。

 

砂漠化問題に対して私たちができること

 

砂漠化に対して私たちにできることはあるのでしょうか。3点ご紹介します。

 

私たちにできる砂漠化対策~エコで持続可能な消費を心がける


日常生活で環境にやさしい製品やサービスを選ぶことで、砂漠化に間接的に貢献することができます。例えば、森林伐採を抑えるためにリサイクル商品を選んだり、農産物を選ぶ際に持続可能な農業で生産されたものを選ぶなど、意識的な選択が重要です。

 

私たちにできる砂漠化対策~節水を習慣づける


砂漠化の進行には、水資源の枯渇が大きく関わっています。家庭や職場での節水を心がけることで、水の無駄使いを減らし、間接的に砂漠化の抑制に貢献できます。シャワーの時間を短縮したり、雨水を再利用するなど小さな行動が積み重ねられます。

 

私たちにできる砂漠化対策~植林活動や環境保護団体への支援


植林活動や砂漠化対策を行う環境保護団体への寄付やボランティア活動も砂漠化対策の一助となります。多くの団体が植林活動や持続可能な農業の推進に取り組んでいるため、支援や参加することで世界的な砂漠化対策に関与できます。

 

砂漠化とは?まとめ

 

砂漠化は、地球の遠い地域で起きている問題のように感じるかもしれませんが、実は私たちの生活にも影響を与える深刻な問題です。砂漠化が進むと、食料不足や価格の上昇、生態系の崩壊などが発生し、その影響は日本のような豊かな国にも波及する可能性があります。

また、砂漠化は気候変動を助長し、地球全体の環境を悪化させます。この問題に対して、私たち一人ひとりができることは少なくありません。日々の消費を見直したり、節水を心がけたり、小さな行動が未来の地球を守る力になります。地球の豊かな環境を守るために、小さな力でも私たちにできることからはじめてみましょう。

update: 2025.1.27