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紛争と戦争、内戦の違いや紛争が起きる原因とは?わかりやすく解説

特集記事

update: 2025.1.18

紛争と戦争、内戦の違いや紛争が起きる原因とは?わかりやすく解説

 

皆さんは「紛争」と聞いてどんなイメージを持ちますか?

国際社会で頻繁に耳にする「紛争」「戦争」「内戦」。これらの言葉は、時に混同されがちですが、それぞれ異なる意味を持ちます。紛争は広義の対立を指し、戦争はその中でも武力を伴う大規模な闘争を意味します。一方、内戦は一国内での武力衝突を指します。これらの事態が発生する背景には、領土問題、資源争い、民族対立、宗教的対立など、複雑な要因が絡み合っています。

 

本記事では、これらの概念の違いを明確にし、紛争が起きる根本的な原因について深く掘り下げていきます。平和な世界を目指すためにも、これらの問題の本質を理解することが重要です。 

紛争と戦争、内戦の違いや紛争が起きる原因とは?わかりやすく解説

紛争とは?

「紛争」とは、広く二者以上の間で意見や利益が対立し、争いが生じる状態のことを指す言葉です。。これには、暴力を伴う場合や、口論や交渉といった平和的な手段での対立も含まれます。本記事では、特に武力抗争という側面を持つ紛争について、解説していきます。

 

紛争と戦争、内戦の違いは?

「紛争」「戦争」「内戦」は争いを表す言葉ですが、意味に違いがあります。

「紛争」は、二者以上の間で意見や利益が対立し、武力を伴わない平和的な交渉や武力を伴う対立を含む幅広い概念です。「戦争」は、国家間や大規模な集団同士で武力を使って行う組織的な戦闘を指します。「内戦」は、一つの国の内部で、政府や反政府勢力などが武力で争う状態を意味します。紛争は最も広い意味を持ち、戦争や内戦はその一部で、規模や対象によって使い分けられます。

紛争が起きる原因は?

次に紛争が起きる主な原因について解説していきます。

紛争が起きる原因①宗教の違い

 

まず一つ目が「宗教の違い」です。

宗教の違いが紛争の原因となる理由は、宗教が人々の価値観や生活様式に深く根ざしているためです。異なる宗教同士では、信仰する神や教義、儀式が異なるだけでなく、生活の規範や社会のルールも異なることがあります。そのため、互いの宗教を理解できないことや、信仰の押し付けが対立を生み、紛争に発展することがあります。

例えば、インドとパキスタンの対立では、インドが主にヒンドゥー教徒である一方、パキスタンはイスラム教徒が多数派です。この宗教的対立が、領土問題や政治的な緊張と結びつき、長年にわたりカシミール地方での紛争を引き起こしてきました。宗教的違いが政治や経済と絡むことで、紛争は複雑化します。

紛争が起きる原因②民族や文化の違い

続いて、「民族や文化の違い」です。

民族や文化の違いが紛争を引き起こす理由は、異なる集団がそれぞれ固有の言語、伝統、価値観を持っており、それが対立や誤解を生むことがあるためです。特に、少数民族が多数派の文化や政治的支配に対して疎外感を感じたり、自治や独立を求める場合、紛争が発生しやすくなります。

例えば、旧ユーゴスラビアでの内戦は、セルビア人、クロアチア人、ボスニア人といった異なる民族間の文化や宗教的な違いが背景にありました。これらの民族は異なるアイデンティティを強く持ち、領土や政治的な支配を巡る争いが激化し、1990年代には深刻な武力紛争へと発展しました。民族や文化の違いが政治的主張と絡むと、対立が深まり紛争の原因となることが多いです。

紛争が起きる原因③政権への反乱

続いての原因は「政権への反乱」です。

政権への反乱が紛争を引き起こす原因は、政府の統治に対する不満や抑圧が積み重なり、反政府勢力が武力を用いて体制の打倒や改革を求めることです。これには、権力の集中、腐敗、不公正な政治体制、経済的な格差などが背景にあります。市民や反政府勢力は、暴力的な手段を通じて現政権の変革を試み、これが国内紛争に発展します。

たとえば、シリア内戦は、長年の独裁政権による政治的抑圧と貧困に対する不満が高まり、2011年に反政府デモが勃発しました。政府の強硬な弾圧が紛争を激化させ、反乱軍と政府軍の間で大規模な内戦へと発展しました。

 

紛争が起きる原因④領土や資源の奪い合い

 

続いては「領土や資源の奪い合い」です。

領土や資源の奪い合いが紛争の原因となるのは、土地や天然資源が国家や集団にとって経済的・戦略的な価値を持つためです。特に、石油、水、鉱物などの限られた資源が関わる場合、争奪戦が発生しやすくなります。領土は、国や民族のアイデンティティとも結びついており、領土問題は感情的な対立も引き起こすことがあります。

例えば、南シナ海における中国と周辺国の領有権争いは、海底の豊富な資源や戦略的要衝としての重要性が背景にあります。この海域を巡る対立などが、紛争の一因となっています。

紛争が起きる原因⑤歴史的な遺恨

 

続いては「歴史的な遺恨」です。

歴史的な遺恨が紛争の原因となるのは、過去の戦争や侵略、差別、支配に対する記憶や感情が長期的に人々や国家間に残り、対立を続けるからです。こうした遺恨は、時が経っても忘れられず、民族的・国家的なアイデンティティや誇りに結びつくことが多いため、次世代にも引き継がれ、再び紛争の火種となることがあります。

例えば、イスラエルとパレスチナの紛争は、長い歴史的な遺恨に根差しています。ユダヤ人の国家建設とアラブ人の土地の喪失を巡る歴史的な対立が、現在も武力衝突や対立の原因となっています。また、歴史的な侵略や植民地支配の記憶も、複雑な感情を呼び起こし、平和的な関係を築くことが難しくなり、紛争へと発展することがあります。

紛争が起きる原因⑥外部からの介入

最後に、「外部からの介入」によって起こる紛争です。

外部からの介入が紛争の原因となるのは、他国や国際組織が特定の国や地域の内政や紛争に影響を与えることで、状況が悪化する場合があるからです。外部の介入は、しばしば政治的・経済的・軍事的な目的で行われ、内政干渉や代理戦争につながることもあります。この介入により、現地の対立が激化し、紛争が長引くことが多くなります。

例えば、先にも紹介したシリア内戦では、アメリカやロシア、イラン、トルコといった外部勢力がそれぞれの政治的利益に基づき介入しました。これにより、紛争は単なる国内問題ではなく、国際的な代理戦争の様相を呈し、武力衝突がさらに激化しました。外部の介入は、紛争の原因となるだけでなく、紛争をより複雑化させることがあります。

以上、6つの理由について解説してきましたが、実際には様々複雑な要素が絡み合い紛争が勃発することが多く、もちろん先述した原因以外の原因によって起きることもあります。

 

紛争が現地の人々に与える影響

こうした紛争は現地の人々にどのような影響を与えているのでしょうか?

紛争の影響①死傷者の増加

 

紛争が発生すると、死傷者の増加が避けられません。武力衝突による直接的な攻撃や爆撃、戦闘行為が原因で、多くの命が失われ、さらに負傷者が増加します。戦闘に巻き込まれるのは軍人だけでなく、無関係な市民や子ども、高齢者も含まれることが多く、特に都市部での戦闘では市民の犠牲が大きくなります。加えて、医療施設の破壊や物資の不足により、負傷者が適切な治療を受けられないケースが増え、死者数がさらに増加することもあります。長期にわたる紛争は、直接的な戦闘以外にも病気や栄養不足による死亡も招き、人道的な危機を深める要因となります。

 

紛争の影響②貧困問題の加速

アフリカなどのもともと貧困問題が深刻な地域で紛争が発生すると、状況はさらに悪化します。これらの地域では、すでに教育や医療、インフラが不十分なことが多く、経済基盤も脆弱です。紛争によって残りわずかなインフラや公共サービスが破壊されると、貧困に苦しむ人々の生活は一層困難になります。

 

また、農業や手工業といった地域の主要な生業が停止し、食糧不足や生活必需品の供給が滞ることで、人々は飢餓や栄養失調の危機にさらされます。もともと限られた資源に依存しているため、物資や資金の不足が顕著となり、支援が行き届かない場合、貧困が世代を超えて拡大し、復興はより困難になります。

紛争の影響③難民・国内避難民の増加

紛争が起こると、住民が安全を求めて避難せざるを得なくなり、難民や国内避難民が急増します。自宅や生活基盤が破壊され、戦闘や迫害から逃れるため、多くの人々が国内外へ避難します。難民は他国に移住を余儀なくされ、過酷な移動や避難生活を強いられます。

 

一方、国内避難民は自国の中で移動しますが、安全な避難場所や基本的な生活インフラが不足している状況に置かれることが多く、避難民キャンプや受け入れ国のリソースが圧迫され、人道的な危機が深刻化します。長期的には、教育や医療の不足、精神的なストレスも加わり、避難民が自立した生活を取り戻すことが難しくなる場合もあります。

紛争の影響④衛生問題の悪化

 

紛争が発生すると、インフラの破壊や生活環境の悪化により、衛生問題が深刻化します。水道や下水システムが破壊されると、安全な飲料水が不足し、感染症のリスクが高まります。

 

避難民キャンプや戦闘地域では、トイレやゴミ処理施設も不足し、食料や医薬品が限られているため、病気が急速に拡大します。さらに、医療機関が機能しない状況では、適切な治療を受けられず、衛生環境の悪化が死者数の増加にもつながります。

 

このように、紛争は現地の人々にも多くの影響を与えており、今この瞬間にも国際的な支援を必要としている人々が多く存在しています。

紛争とSDGs16「平和と公正をすべての人に」との関係

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」は、平和的な社会の実現や、公正で包摂的な制度の構築を目指しており、紛争問題の解決に直接関わっています。

 

この目標が達成されることで、紛争の原因である不平等、腐敗、権利侵害を減少させ、社会の安定を促進します。公正な法制度や透明なガバナンスが機能すれば、対話や平和的な解決策が優先され、紛争がエスカレートする前に抑制できる可能性が高まります。

 

また、SDGs全体を通じて、貧困や不平等が改善されれば、紛争の根本原因である資源の奪い合いや社会的不満も緩和されるため、長期的な平和構築につながります。

紛争問題解決に向けた国際的な取り組み

紛争問題の解決に向けて国際的にはどのような取り組みが行われているのでしょうか。

 

国連の平和維持活動(PKO)

 

国連の平和維持活動(PKO)は、紛争解決や平和の維持を目的とした国際的な取り組みです。PKOは、紛争が発生した地域に国連の要請に基づいて派遣され、停戦監視、平和協定の履行支援、住民保護、人道支援の確保などを行います。

 

軍事的な介入だけでなく、地域社会の安定や法の整備にも貢献します。また、紛争後の国の復興支援や、選挙支援、難民の帰還を支援することもPKOの役割です。PKOは、中立的な立場で活動することで、紛争の再燃を防ぎ、平和的解決を目指します。

 

平和構築委員会(PBC)

 

平和構築委員会(PBC: Peacebuilding Commission)は、紛争後の国々での平和と安定の確立を支援するために、2005年に国連で設立された機関です。

 

PBCは、紛争が終結した後の国々において、平和の定着と持続的な復興を目指すため、国際社会や当事国、地域機関との連携を促進します。具体的には、ガバナンスの強化、経済復興、法の支配や人権の尊重を推進し、政治的・経済的な不安定要因を取り除くための支援を行います。また、PBCは各国の再建過程において、資金や技術的なサポートを提供し、平和が再び脅かされることを防ぐための包括的な取り組みを進めます。

 

平和維持活動(PKO)と平和構築委員会(PBC)は、共に紛争後の平和支援を目的としますが、役割と活動期間が異なります。PKOは主に紛争中や直後に派遣され、停戦監視や住民保護といった軍事的・安全保障的な任務を遂行します。一方、PBCは紛争後の長期的な平和構築を支援し、経済復興や法の支配の確立など、社会の再建に焦点を当てます。

 

PKOが短期的な安定維持を目指すのに対し、PBCは長期的な平和の定着に取り組みます。

武器取引規制(ATT)

 

武器貿易条約(ATT: Arms Trade Treaty)は、国際的な武器取引を規制し、紛争や暴力の拡大を防ぐことを目的とした条約です。2014年に発効したこの条約は、武器が人権侵害や紛争を助長することを防ぐために、各国に対して武器の輸出入に厳格な基準を設けるよう求めています。特に、武器が戦争犯罪に使用される可能性がある場合、その取引を禁止します。このようにATTは、武器の流通を抑制することで、紛争の激化や長期化を防ぐ重要な条約です。

 

紛争地域の人々のために私たちができること

紛争地域の人々のために私たちができることは何でしょうか?

 

ボランティア活動への参加

 

1つ目はボランティア活動への参加です。現地や難民キャンプでの食糧配布、医療支援、教育支援など、さまざまな分野での活動が求められています。特に、医療や教育の専門知識を持つ人は、多くの地域で求められています。

 

また、物理的に現地に行けない場合でも、国内外の支援団体での募金活動や物資の仕分け、リモートでの教育支援など、多様な形で貢献できます。ボランティアは、個々のスキルや時間に応じて参加でき、直接的な支援を提供する手段として重要です。

 

ボランティアの探しかたについてはこちら▼

【保存版】大学生向け!国際協力ボランティアの探し方

支援活動を行っている団体への寄付

 

支援活動を行っている団体への寄付も今すぐにできる方法として挙げられます。

 

多くの国際的な人道支援団体や非政府組織(NGO)は、現地での医療支援、食糧配給、避難民の保護などの活動を展開していますが、これらの活動は資金に依存しています。寄付により、必要な物資やサービスを提供するための資金を直接支援できます。たとえば、国際赤十字や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、NGOなどへの寄付が、紛争で苦しむ人々の生活改善や命を救うために使われます。寄付は、金額に関係なく、支援の継続性を確保するために重要な貢献となります。

難民の受け入れ

 

難民の受け入れは、紛争地域から逃れてきた人々を保護し、生活基盤を提供する重要な支援方法です。多くの難民は、命の危険や迫害から逃れるために国境を越え、安全な場所を求めています。難民を受け入れることで、彼らに安全な住居、教育、医療、就労の機会を提供し、自立した生活を支援できます。

 

受け入れ国としても、地域社会との共生を進めるために、多文化理解や支援体制の整備が重要です。また、個人としても、難民支援に関わるボランティアやコミュニティ活動に参加し、彼らの社会適応をサポートすることが可能です。

 

紛争とは?まとめ

 

紛争、戦争、内戦は、いずれも争いを表しますが、それぞれ意味が異なります。紛争は広く二者以上の対立を指し、戦争は国家間の武力衝突、内戦は一国内での武力紛争を指します。

 

これらの背景には、領土や資源の争奪、宗教や民族の対立、歴史的な遺恨、政権への反乱などが複雑に絡んでいます。紛争は現地の人々に大きな影響を与え、死傷者の増加、貧困の悪化、難民の増加といった深刻な問題を引き起こします。平和と公正な社会を実現するため、私たち一人ひとりができることを考えることが大切です。

update: 2025.1.18