
アフリカの貧困問題の現状は?原因や解決に向けた取り組みも含めて解説
update: 2025.1.11
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アフリカの貧困問題の現状は?原因や解決に向けた取り組みも含めて解説
「貧困問題」と聞くと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのがアフリカではないでしょうか。しかし、アフリカの貧困とは実際にどんな問題なのでしょうか。原因は何でしょうか。本当に解決することは可能なのでしょうか。
この記事では、アフリカで起きている貧困問題の現状と、その根本的な原因をわかりやすく解説します。
また、最後にはアフリカの貧困問題を解決するための実際の取り組み事例もご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
アフリカの貧困問題の現状とは。実際どのくらい深刻なのか?

アフリカの貧困問題は、ここ数十年の間に改善してきた部分もありますが、依然として深刻な地域も多くあるのが現状です。
中には貧困層が増加している地域もあり、対策を迫られている状況に変わりありません。
特に貧困が深刻な「サブサハラ・アフリカ地域」
「サブサハラ・アフリカ」と呼ばれる、アフリカの中でもサハラ砂漠より南の地域は、世界で最も貧しい地域と言われています。
実際に国際通貨基金(IMF)のデータ(※1)を見ても、南スーダンやブルンジ、中央アフリカ共和国など、サブサハラ・アフリカの国々の一人当たりGDPは世界で最低水準となっています。
さらに、サブサハラ・アフリカは、近年世界で貧困が改善している状況の中で唯一貧困層が増加している地域でもあります。2015年の世界銀行の報告(※2)では、地域全体の人口の41.1%が貧困状態にあることがわかっており、今なお深刻な状況が続いています。
※1 国際通貨基金(IMF):https://www.imf.org/external/datamapper/PPPPC@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD
※2 World Bank Group:https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2014/01/08/open-data-poverty
貧困によってアフリカで起きている問題
そのような状況で問題となっているのは、特に食料と医療の問題です。
お金がなければ食料を買えないのは言うまでもありませんが、加えて、農業で生計を立てている人々が非常に多いアフリカでは、貧困によって農業に必要な肥料や設備などを購入できないことで、十分な収入が得られずに飢餓に陥るケースも多くあります。
また、貧困のために医療を受ける金銭的余裕がない場合も多く、特にアフリカで深刻なエイズやマラリアといった感染症にかかり、そのまま亡くなってしまう人も後を絶ちません。
貧困による子どもたちへの影響
上記の食料と医療の問題は、当然アフリカの子どもたちにも深刻な影響を与えています。栄養不良によって心身の発達に重大な悪影響が出たり、医療不足により、特に下痢などの疾患でそのまま亡くなってしまう子どもも多くいます。
そして、特に子どもにとって深刻なのが、教育格差です。貧困のために十分な教育を受けられなかった結果、大人になって安定した職に就くことができず、さらにその子どもにも教育を受けさせることができないという、いわゆる「貧困の連鎖」の問題が、今なおアフリカに根強く残っているのです。
そもそもなぜアフリカは貧困なのか?原因は災害と紛争、教育格差にある

アフリカの貧困の原因①自然災害
まず自然災害は、これまでアフリカの大勢の人々を貧困に陥らせてきた要因の一つです。
災害が起きると、住居や財産が失われて一気に貧困状態となるリスクがあります。また、先ほど説明した通り農業で生計を立てる人々が多いアフリカでは、洪水や干ばつなどの災害によって農地が被害を受け、突然収入がなくなるということも少なくないのです。
アフリカの貧困の原因②紛争・内戦
紛争・内戦は、自然災害と同様に住居や財産、収入源を奪い、人々を貧困に陥らせます。植民地時代、ヨーロッパの宗主国がアフリカに民族分布を無視した国境線を引いた背景などもあり、現在に至るまで日々多くの紛争・内戦が勃発し、貧困を生み出す主な原因の一つとなっています。
アフリカの貧困の原因③教育格差
先ほど、貧困による影響として教育格差を挙げましたが、教育格差は同時に貧困の原因でもあります。アフリカでは未だ、学校の数や教師の数が圧倒的に足りておらず、仮にお金があったとしても、子どもたちが十分な教育を受けられる環境が整っていないのです。結果としてやはり、大人になった時に安定した職に就くことができず、貧困に陥ってしまいます。
アフリカの貧困問題は解決できる?実際の取り組み事例をご紹介

ここまで、アフリカの貧困問題の現状と原因について解説しました。
現在世界では、実際にアフリカの貧困やそれに根付いた諸課題を解決するため、食料や医療の緊急支援や、ODA(政府開発援助)などの経済的支援、開発支援など様々な取り組みが行われています。
この記事では最後に、その中でも特に貧困の根本的な解決を目指している以下2つの事例をご紹介します。
●日本赤十字社による「レジリエンス強化事業」
日本赤十字社は、アフリカで食料や医療などの緊急支援を行うと同時に、将来の災害や紛争に備えてアフリカの人々が自立的に貧困から抜け出せるようにするために、防災支援や、栄養面・医療面での指導などを行っています。
●ユニセフによるアフリカ教育支援事業
上でも説明しましたが、アフリカの貧困問題は、災害や紛争だけでなく教育格差によっても生まれています。そこでユニセフは、アフリカの子どもたちがより教育を受けやすい環境をつくるために、学校の建設や教員への研修、教科書の提供をはじめとした様々な取り組みを行っています。
アフリカの貧困問題まとめ

このようにアフリカでは、主にサブサハラ・アフリカ地域を中心として未だに深刻な貧困の現状があり、特に飢餓や栄養不良と言った食料問題、医療問題、そして教育格差などの問題を生み出しています。
アフリカの貧困問題の主な原因は以下の3つです。
・自然災害
・紛争、内戦
・教育格差
これらの原因を取り除き問題を解決するために、食料や医療の緊急支援や、ODAなどの経済的支援、開発支援など様々な支援が行われており、本記事ではその中でも特に根本的な貧困解決を目指している、日本赤十字社とユニセフの2つの取り組み事例をご紹介しました。
update: 2025.1.11