
海洋プラスチック・海洋ゴミによる汚染問題の現状と解決策
update: 2024.12.31
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海洋プラスチック・海洋ゴミによる汚染問題の現状と解決策
今回の記事では、廃棄プラスチックによる海洋汚染問題の現状を解説し、解決策として行われていることを紹介します。持続可能な未来を目指すための施策や私たちにできることを学んでいきましょう。
海洋プラスチックとは?問題と現状
海洋プラスチックとは?
海洋プラスチックは、使用後に廃棄されて海に流れ込むプラスチック製品や素材のことを指します。おも、食品包装、ボトル、袋、家庭用品などが廃棄され海に流れ込んでいると言われています。
海洋プラスチックの現状
環境省の調査によると、年間800万トン以上のプラスチックが海に流入していると言われています。このペースで行くと、2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を超えると予測されており、特に、アジアの河川や沿岸地域では海洋プラスチックの流入が深刻化しています。
(出典:環境省)
海洋プラスチックが生態系や人間に与える影響

生態系への影響
プラスチックゴミは、海洋生物に物理的な危害を与え、有害物質が生物に蓄積し、生物多様性の喪失を引き起こします。多くの海洋生物がプラスチックを誤って摂取し、消化不良や窒息を引き起こします。例えば、ウミガメがプラスチック袋をクラゲと間違えて摂取する事例が多く報告されています。
また、マイクロプラスチックはプランクトンから魚類、鳥類、哺乳類まで幅広い生物に取り込まれ、食物連鎖を通じて影響が拡大します。これにより、生態系全体のバランスが崩れ、持続可能な環境が脅かされます 。
人間への影響
プラスチックに含まれる有害物質が海産物を通じて人間に取り込まれることが懸念されています。これにより、内分泌系の乱れや発がん性物質の摂取など、健康へのリスクが高まります。具体的には、マイクロプラスチックが魚介類に蓄積し、それを摂取することで人体にも影響が及びます 。
さらに、海洋プラスチック汚染は観光業や漁業に経済的な影響を与えます。汚染されたビーチは観光客を減少させ、漁業では漁網にプラスチックが絡まり漁獲量が減少するなどの問題が生じています 。
海洋プラスチックはどこから流入する?
陸上からの流入
陸上からの流入は、主に不適切な廃棄物管理や都市排水によって発生します。特に発展途上国では、廃棄物処理のインフラが整っておらず、多くのプラスチックゴミが河川を通じて海に流れ込みます 。
海上からの流入
漁業活動や海上輸送中に、プラスチックゴミが海に放出されることがあります。漁網や釣り糸、その他の漁具が破棄され、海洋汚染を引き起こします 。
海洋プラスチック問題の2つの解決策
プラスチックのリサイクル
プラスチックを捨てずにリサイクルすることが解決策の1つ目です。以下のように効果的なリサイクルプログラムの導入と改善が必要とされています。
- インフラ整備:リサイクル施設の整備と効率化を進めることで、プラスチック廃棄物の処理能力を向上させます。
- 分別の徹底:家庭や企業でのプラスチック廃棄物の分別を促進し、リサイクル可能なプラスチックの回収率を高めます。
- 技術革新:リサイクル技術の研究開発を進め、より多くの種類のプラスチックをリサイクル可能にすることが重要です。例えば、化学的リサイクル技術を用いて、使用済みプラスチックを元の原材料に戻すことが可能です。
代替素材の利用
リサイクル以外でも代替素材を使用することで海洋ごみを減らす効果があります。生分解性プラスチックやその他の代替素材の開発と利用をすることで、プラスチックの使用量を減らし、環境への影響を軽減できます。代替素材としては以下のようなものが挙げられます。
- 生分解性プラスチック:自然環境下で分解されるプラスチック素材の利用を拡大します。これにより、海洋や土壌に蓄積するプラスチックゴミを減少させることが期待されます。
- バイオプラスチック:植物由来の原材料を使用したプラスチック素材の開発が進められています。これにより、石油資源への依存を減らし、持続可能な素材の利用が促進されます。
- リユース可能な製品:使い捨てプラスチック製品の代替として、耐久性があり繰り返し使用可能な製品の普及を推進します。例えば、金属製ストローや再利用可能なショッピングバッグなどがその一例です。
世界各国の海洋プラスチック問題解決への取り組み

海洋プラスチック、海洋ごみ問題の解決へ向けた各国の取り組みをご紹介します。
日本の取り組み
日本は、海洋プラスチック問題に対して様々な政策を導入しています。特に注目すべきは、リサイクルの促進と技術開発です。プラスチックごみのリサイクル率を向上させるために、地方自治体や企業が協力して取り組んでいます。
日本政府は、海洋プラスチックごみ削減のための国際協力にも積極的です。例えば、G20大阪サミットでは、海洋プラスチックごみのゼロエミッションを目指す「大阪ブルーオーシャンビジョン」を提案しました。このビジョンは、2050年までに新たな海洋プラスチックごみの発生をゼロにすることを目標としています。
欧州の取り組み
欧州連合(EU)は、海洋プラスチック問題に対して厳しい規制を導入しています。EUの「プラスチック戦略」では、使い捨てプラスチック製品の使用を大幅に削減し、リサイクル率を向上させるための具体的な目標が設定されています。
例えば、2021年には使い捨てプラスチック製品の販売を禁止する法律が施行されました。この法律により、ストロー、カトラリー、皿、綿棒、風船のスティックなどの製品が対象となっています。また、EUはプラスチック製品のデザイン改善や、生分解性プラスチックの利用促進も進めています。
出典: 欧州連合公式ウェブサイト
アメリカの取り組み
アメリカでは、州ごとに異なる対策が講じられています。カリフォルニア州やニューヨーク州など、多くの州が使い捨てプラスチック製品の規制を強化しています。例えば、カリフォルニア州ではプラスチック製のレジ袋の使用を禁止しており、ニューヨーク州では使い捨てプラスチック製ストローの提供が制限されています。
また、アメリカは企業による自主的な取り組みも進んでいます。多くの企業がリサイクルプログラムを導入し、プラスチックの使用量を削減する努力をしています。例えば、スターバックスは再利用可能なカップの利用を促進し、プラスチックストローの使用を段階的に廃止しています。
海洋プラスチック問題に対して私たちができること
海洋プラスチック問題の解決のために私たちがすぐにできることは以下のようなことが挙げられます。
プラスチックの使用を減らす
- 再利用可能な袋やボトルを使用する。
- プラスチック製品を避け、代替品を選ぶ(竹製の歯ブラシ、金属製のストローなど)。
- 使い捨てプラスチックの購入を減らす。
リサイクル
- プラスチックを正しく分別し、リサイクルする。
- リサイクルのルールを学び、地域のリサイクルプログラムに従う。
ビーチや川の清掃活動に参加
- 地元のビーチや川の清掃イベントに参加する。
- 自分たちで清掃活動を企画し、コミュニティに呼びかける。
海洋プラスチック問題のまとめ
海洋プラスチック問題は、世界中の海洋にプラスチックゴミが大量に流入し、海洋生態系に深刻な影響を及ぼしている環境問題です。海洋生物がプラスチックを誤食し、健康被害を受けたり、死に至るケースが増加しています。また、マイクロプラスチックは食物連鎖を通じて人間の健康にも悪影響を与えます。この問題を解決するために、リサイクルへの協力や日常的に使用する素材を改めるなど、私たちもできることからはじめていきましょう。
update: 2024.12.31