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ディーセント・ワークとは?わかりやすく解説!~SDGs8「働きがいも経済成長も」

update: 2024.12.23

ディーセント・ワークとは、ILO(国際労働機関)が提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」を意味し、労働者の権利の保護、公正な待遇、安全で健康的な労働環境の確保、適切な労働時間、そして家族生活とのバランスなど、労働者にとって基本的な条件を満たす仕事を指します。

これはSDGs(持続可能な開発目標)の一部でもあり、特に目標8「働きがいも経済成長も」と深く結びついています。ディーセント・ワークの実現は、労働者の生活の質を向上させるだけでなく、企業の生産性向上や社会全体の持続可能な発展にも寄与します。

本記事では、ディーセント・ワークの定義や重要性、日本における現状と課題、具体的な取り組み事例などを詳しく解説します。

 

ディーセント・ワークとは?わかりやすく解説!~SDGs8「働きがいも経済成長も」

ディーセント・ワークとは?

 

ディーセント・ワーク(Decent Work)は、国際労働機関(ILO)が提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」を意味します。この概念は、労働者が尊厳を持ち、安全で健康的な環境で働けることを目指しています。具体的には以下の要素を含みます。

 

  1. 適正な賃金:労働者が生活を維持できるだけの収入を得ることができる。
  2. 安全で健康的な労働環境:労働者が健康を害さず、安全に働ける環境が提供される。
  3. 労働時間の管理:適切な労働時間が守られ、過度な残業がない。
  4. 社会的保護:失業、病気、老齢、障害などのリスクに対するセーフティーネットが整備されている。
  5. 労働者の権利の尊重:労働者が差別なく扱われ、基本的な労働権が保障される。
  6. 社会対話:労働者と経営者が対等に話し合い、協力して問題解決に取り組むことが促進される。

 

ディーセント・ワークの実現は、労働者の生活の質を向上させるだけでなく、企業の生産性向上や社会全体の持続可能な発展も目的としています。特にSDGs(持続可能な開発目標)の目標8「働きがいも経済成長も」と深く関連しており、持続可能な経済成長の実現に不可欠な要素となっています​。

 

ディーセント・ワークの4つの戦略的目標

ディーセント・ワークの推進にあたって、ILOは以下の4つの戦略的目標を掲げています。それぞれの目標とそれが意味することについて解説していきます。

ディーセント・ワークの戦略的目標①「雇用の促進」

雇用の促進は、労働市場へのアクセスを拡大し、全ての人が適切な仕事に就けるよう支援することを意味しています。これには、若者の雇用促進や失業者の再雇用支援などが含まれています。

ディーセント・ワークの戦略的目標②「社会的保護の方策の展開及び強化」

社会的保護の方策の展開及び教科には、労働者が直面するリスク(失業、病気、老齢、障害など)に対するセーフティーネットを構築し、誰もが安心して働ける環境を提供することを意味しています。

ディーセント・ワークの戦略的目標③「社会対話の促進」

社会対話の促進とは、労働者と経営者が対等に話し合い、協力して問題解決に取り組むことを奨励すること、労働組合の活動や労使間協議の場を充実させることを意味しています。

ディーセント・ワークの戦略的目標④「労働における基本的原則及び権利の尊重」

労働における基本的原則及び権利の尊重は、児童労働の撤廃や強制労働の禁止など、労働者の基本的な権利を守ること、すべての労働者が差別なく尊重される環境を作ることを意味しています。

 

ディーセント・ワークとSDGs

ディーセント・ワークは、SDGs(持続可能な開発目標)の中でも特に目標8「働きがいも経済成長も」と深く結びついています。SDGs目標8は、持続可能な経済成長を促進し、すべての人々に働きがいのある仕事を提供することを目指しています。ディーセント・ワークの実現は、この目標達成の鍵となる要素です。その他にもSDGsにおいて以下のような関連があります。

  • 経済成長の促進

労働者が安心して働ける環境を提供することで、生産性が向上し、経済全体の成長に寄与する。

  • 貧困の削減

適正な賃金と社会的保護が提供されることで、貧困からの脱却を可能にする。

  • ジェンダー平等の推進

女性を含むすべての労働者が平等に扱われる社会を実現する。

 

日本におけるディーセント・ワークの現状と課題

日本におけるディーセント・ワークの現状を解説していきます。

長時間労働の是正や非正規雇用の待遇改善を目的とした働き方改革の推進によって日本の働き方は徐々に改善されつつあります。

 

しかし、依然として多くの課題が残っています。

特に長時間労働は、過労死や健康問題を引き起こす深刻な問題であり、政府の取り組みにもかかわらず完全には解決されていません。

また、非正規雇用の労働者は賃金や労働条件において不利な状況に置かれており、正規雇用との格差が依然として大きな課題となっています。

さらに、労働者のワークライフバランスの確保やジェンダー平等の推進も重要な課題として認識されています。

 

これらの問題に対処するためには、政府、企業、労働者が一体となって取り組むことが必要です。持続可能な経済成長と全ての人々が安心して働ける社会を実現するためには、さらなる努力と改革が求められています。

 

ディーセント・ワークを実現するための具体的な取り組み

ディーセント・ワークを実現するためには、さまざまな具体的な取り組みが必要です。

 

まず、政府の役割として、労働基準法の改正や社会保障制度の強化が挙げられます。これにより、労働者の権利が法的に保護され、失業や病気に対するセーフティーネットが充実します。

 

企業側では、労働時間の管理を徹底し、長時間労働を減らすための取り組みが求められます。例えば、フレックスタイム制やリモートワークの導入により、労働者のワークライフバランスを支援することができます。

さらに、職場環境の改善に向けて、ハラスメント防止対策や労働安全衛生の強化も欠かせません。労働者自身も、労働組合を通じて積極的に声を上げ、労働条件の改善を求めることが重要です。こうした取り組みを通じて、すべての労働者が安心して働ける環境が整備されることが期待されます。

 

ディーセント・ワークの実践例

日本の企業によるディーセント・ワークの実践事例について、具体例を用いながら紹介していきます。

 

  1. 凸版印刷株式会社

凸版印刷は労働安全衛生の取り組みを強化し、東京2020大会パートナー企業としてディーセント・ワークの事例集に掲載されました。具体的には、安全対策の徹底、健康診断の充実、職場環境の改善などが行われています​ 。

 

  1. 富士ゼロックス株式会社

富士ゼロックスは、「ワーク・ライフ・バランス」を重視し、多様な働き方を推進しています。テレワークやフレックスタイム制度の導入により、従業員が仕事と家庭生活を両立できる環境を整備しています。また、育児休暇や介護休暇の取得を奨励し、職場復帰を支援するためのプログラムも充実しています​ 。

 

  1. 株式会社リクルートホールディングス

リクルートは、「健康経営」を積極的に推進し、従業員の健康を守る取り組みを行っています。例えば、定期的な健康診断の実施や、健康相談窓口の設置、メンタルヘルスケアの充実など、従業員の健康維持に力を入れています。また、残業時間の削減や有給休暇の取得促進にも努めています。

 

まとめ

ディーセントワークとは、国際労働機関(ILO)が提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」を指し、適正な賃金、安全で健康的な労働環境、社会的保護、労働者の権利の尊重などを含みます。日本では、働き方改革により改善が進む一方で、長時間労働や非正規雇用の格差といった課題が依然として存在します。ディーセントワークの実現には、政府、企業、労働者が一体となって取り組むことが求められています。

 

参考:ILO「ディーセント・ワークとは」

update: 2024.12.23