
世界の貧困問題をわかりやすく解説!貧困の現状や原因、解決策とは?SDGs1「貧困とは?」
update: 2024.12.17
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世界の貧困問題をわかりやすく解説!貧困の現状や原因、解決策とは?SDGs1「貧困とは?」

ここ数十年の間に、世界全体では貧困に苦しむ人の数が大きく減っていると言われています。
一方で、世界では未だおよそ7億人が貧困状態にあると言われており、地域によってはほとんど状況が変わっていない地域や、むしろ貧困が深刻化している地域もあります。
この記事では、そんな貧困問題の世界の現状や、貧困を生み出しているさまざまな原因・背景をわかりやすく解説しています。
また、記事後半では貧困問題の解決策についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
世界の貧困問題の現状は?実際にどんな問題が起きている?

ここ数十年間で、世界で貧困に苦しむ人の数は減っていると言われています。たしかに、途上国の人々の所得向上などにより、世界全体の貧困者数は減少傾向にあります*。
しかし、それぞれの地域を細かく見てみると、むしろ貧困人口が増えている地域もあります。特に、最近では新型コロナウイルスや世界で頻発する紛争によって、新たに多くの人々が貧困に陥っていることも事実です。
まずはそのような背景を踏まえつつ、世界の貧困問題の”いま”についてわかりやすく解説していきます。
*出典:WORLD BANK GROUP. 世界全体の貧困者数は大幅に減ったが 依然として重大な課題が
まずはじめに、「貧困」とは?
貧困問題の現状を解説するにあたって、まずそもそも「貧困」とはどのような状態を指すのか、確認したいと思います。
大前提として、「貧困」に1つの決まった定義はありません。つまり、どのような状態を「貧困」と捉えるかは、人や考え方によって様々なのです。
しかしその中でも、一般的によく用いられている「貧困」の捉え方が大きく分けて2つあります。「相対的貧困」と、「絶対的貧困」です。
先進国でも深刻な「相対的貧困」
「相対的貧困」とは、その国や地域に住む大多数の人々に比べて所得が少ない状態のことを指します。例えば日本のように国としては発展していても、その中での経済格差によって「相対的貧困」に苦しんでいる人は決して少なくありません。
この記事では主に次の絶対的貧困について解説していますが、気になる方は、以下の先進国の相対的貧困についての記事をご覧ください。
※リンク 先進国における相対的貧困の記事
主に途上国で深刻な「絶対的貧困」
「貧困 」という言葉を聞いて多くの人が思い浮かべるのは、この「絶対的貧困 」のイメージかもしれません。所得が絶対的に少なく、衣食住や教育、医療などへのアクセスもままならないといった状態です。
先述の通り、現在世界的に見てこの状態の人々は減少傾向にありますが、特に南アジアやサハラ以南のアフリカにある途上国では、未だ絶対的貧困に苦しんでいる人々が多くいます。実際、それら2つの地域には世界全体の貧困人口の約85%が集中している状態です*。
*出典:WORLD BANK GROUP. 1年を振り返って:14の図表で見る2019年
貧困によって生まれる問題

SDGsの17の目標を見てもわかるように、現在世界はさまざまな問題を抱えている状況ですが、それらの問題の中には、この「貧困」が主な原因となって生まれているものも多くあります。
中でも、特に「飢餓」、「教育格差」、「医療格差」の問題は、貧困が直接の原因となって引き起こされているケースも少なくありません。
貧困によって生まれる「飢餓」
貧困で食料を買うお金がなければ、当然飢餓に陥るリスクは高まります。さらに、世界の貧困層のおよそ6割は農業をして生計を立てている*と言われており、その人々が貧困によって農業に必要な肥料や種子、設備などを購入できなければ、自給自足が困難になり、やはり飢餓に陥ってしまうのです。
*出典:JICA. みんなが豊かになる 農業を実現し 貧困と飢餓をなくす
貧困によって生まれる「教育格差」
日々の生活もままならない貧困地域では、子どもたちの教育が後回しにされてしまう現状があります。特に、子どもが家族のために家事や労働をしなければならず学校に行けなかったり、そもそも地域自体に学校がない場合も多くあります。地域や家庭の貧困が、そのまま子どもの教育格差に直結しているのです。
貧困によって生まれる「医療格差」
食料や教育だけでなく、貧困は人々の医療へのアクセスも制限します。特に、途上国で深刻なマラリアやはしかといった感染症への予防や、その他病気やけがの治療を受けられないために、仕事ができなくなったり、また命を落としてしまうリスクも高くなってしまいます。
そもそもなぜ貧困は生まれるのか。貧困問題の原因と背景

このように、飢餓や教育格差、医療格差など、世界でさまざまな問題を引き起こしている「貧困」ですが、そもそもその「貧困」自体は、どのようにして生まれているのでしょうか。
ここでは、貧困問題の主な原因や背景について解説していきます。
紛争
一つ目は紛争です。特に近年頻発している紛争ですが、実際に今も世界で多くの貧困を生み出している原因の一つです。紛争が起こると、まずその土地で暮らしていた人々は難民となり、住居やその他あらゆるものを捨てて逃げなくてはなりません。つまり、財産を失ってしまうのです。
加えて、その土地に根付いた仕事をして生活していた人々は、同時に職も失うことになり、その後の収入源がなくなります。実際、途上国に住む人々は農業などまさにそのような仕事を行っている人が多いため、そのリスクは非常に高いのです。
災害
紛争と同様に、災害もまた人々の住居や職を奪い、貧困を引き起こします。世界銀行によると、毎年約2,600万人の人々が自然災害の影響で貧困状態に陥っている*と分析されています。
また、特に途上国では先進国に比べて災害対策や被災後の復興支援の仕組みが整っていないため、一度の災害によってより多くの人々が被害を受けるリスクがあります。
*出典:WORLD BANK GROUP. 自然災害で年2,600万人が貧困状態に陥り、損失額は5,200億ドルに上ると世界銀行が分析
政治・歴史的背景
政治や歴史的背景も、途上国の貧困問題に大きく関わっています。特にアフリカなど、かつて植民地として支配されていた国々ではいまだ政治機構が未熟な国も多く、不適切な政策や汚職などによって、国としての経済発展が困難となり、新たに貧困者数を増加させてしまっている現状があります。
貧困の連鎖
「貧困の連鎖」によって、貧困から抜け出せなくなったり、さらに深刻な貧困状態に陥ってしまうケースもあります。
まず、一度貧困に陥ってしまうと、冒頭で説明したような飢餓や医療格差、教育格差などの問題に直面します。すると、例えば飢餓による栄養不良や、医療を受けられないことによる病気やケガの悪化などにより、仕事ができなくなり、より深刻な貧困状態に陥ってしまうことがあるのです。
また、貧困による教育格差によって子どもが教育を受けられない場合、親と同様に将来収入が安定した職に就くことができず、子どもも貧困に陥ってしまうということも、実際よく起きています。
貧困問題の解決策とは?貧困をなくすための2つの方法

このように、貧困は主に紛争や災害、政治などの原因によって生み出され、そして「貧困の連鎖」によって繰り返されます。
このことを踏まえると、貧困問題を解決するための方法は、大きく分けて貧困を「生み出さない」ための方法と、貧困を「繰り返させない」ための方法の2つが必要だと言えます。
貧困を「生み出さない」ための取り組み
貧困は紛争や災害、政治などによって生み出されますが、例えば紛争や災害が起こった後の復興支援や、被災地域から逃れた人々がその後貧困に陥らないようにするための支援を行うことで、新たな貧困者の増加をふせぐことができます。
また、国の政治や経済自体を変えることは難しくても、食料や物資などの緊急支援を通して、その政治・経済の影響により貧困に陥る人々を減らすことはできます。
貧困を「繰り返させない」ための取り組み
貧困問題を解決するためには、やはり「貧困の連鎖」を止めることも不可欠です。そのためには、まず一度貧困に陥った人々がなぜ貧困から抜け出せなくなっているのか、つまり、その地域で貧困を繰り返させている原因を特定し、取り除く必要があります。
例えば、教育格差が原因で貧困の連鎖が起こっている場合、その地域に学校をつくったり、教育の質を高める支援を行うなど、教育格差という教育格差という貧困の連鎖の原因に直接アプローチすることで、貧困が繰り返されるのをふせぐことができます。飢餓や医療格差が原因の場合も同様です。
まとめ|世界の貧困問題の現状、原因、解決策

このように、世界全体の貧困人口は減っているとはいえ、南アジアやサハラ以南のアフリカなど地域によっては未だ多くの人々が貧困状態にあり、その貧困によって、同時に飢餓や教育格差、医療格差といった問題も起きています。
また、貧困は紛争や災害、政治・歴史的背景などの原因によって生み出されているだけでなく、「貧困の連鎖」によって繰り返されることで、今なお多くの人々を苦しめています。
そのため、この貧困問題を解決するためには、貧困を「生み出さない」ための方法と、また貧困を「繰り返させない」ための方法の2つが必要だと説明しました。
もちろん、貧困を生み出している原因や、貧困を繰り返させている原因は地域によって異なりますが、それぞれの原因をよく理解した上で具体的な解決策を考えることが重要です。
update: 2024.12.17