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グリーンウォッシングとは|企業が知るべき定義・見分け方・コンプライアンス対策【2026年最新版】

update: 2026.1.18

グリーンウォッシングとは|企業が知るべき定義・見分け方・コンプライアンス対策【2025年最新版】

環境への配慮をアピールする企業が増える一方、「グリーンウォッシング」という言葉も注目を集めています。グリーンウォッシングとは、実態以上に環境への貢献を誇張・偽装して消費者を誤認させる行為を指します。日本では景品表示法、海外ではEUや英国などで規制が強化されており、企業にとってコンプライアンス上の重大リスクとなっています。本記事では、グリーンウォッシングの定義・よくあるパターン・見分け方チェックリスト・企業が取るべき対策を、公的資料に基づき解説します。マーケティング・広報・ESG・法務担当の方に役立つ内容です。

グリーンウォッシングとは何か?基本的な定義

グリーンウォッシング(Greenwashing)とは、企業や組織が実際の環境への配慮や貢献よりも過大に、または虚偽的に「環境に優しい」というイメージを訴求する行為を指します。語源は「グリーン(環境配慮)」と「ホワイトウォッシング(上塗り・粉飾)」を組み合わせたもので、1980年代から使われ始めたとされています。

具体的には、以下のような行為がグリーンウォッシングに該当する可能性があります。

  • 環境配慮を示す根拠が不十分、または存在しないにもかかわらず「エコ」「サステナブル」などの表現を用いる
  • 製品やサービスの一部分だけが環境に配慮しているにもかかわらず、全体が環境に優しいかのように誤認させる
  • 比較対象や基準を明示せずに「環境負荷が低い」などと主張する
  • 環境認証マークやラベルを装飾的に使用し、実際の認証内容や範囲を正確に伝えない

グリーンウォッシングは単なるマーケティング上の誇張ではなく、消費者の選択を歪め、市場の公正な競争を阻害し、真に環境配慮を実践する企業の努力を損なう行為として、世界的に問題視されています。

グリーンウォッシングが問題視される理由

グリーンウォッシングが批判される背景には、複数の深刻な影響があります。

1. 消費者の誤認と選択の歪み

環境意識の高い消費者は、「環境に優しい」と表示された製品を選びたいと考えます。しかし、その表示が根拠に乏しい場合、消費者は誤った情報に基づいて選択することになり、本来望んでいた環境配慮型の製品を選べなくなります。

2. 企業の信頼毀損と法的リスク

グリーンウォッシングが発覚すると、企業は消費者やステークホルダーからの信頼を失い、ブランド価値が大きく損なわれる可能性があります。また、景品表示法など消費者保護法規に違反するリスクもあり、行政処分や訴訟の対象となる場合があります。

3. 市場の公正な競争の阻害

実際に環境配慮のためにコストや労力をかけている企業と、見せかけだけの企業が同じ市場で競争すると、公正な競争環境が損なわれます。結果として、真に環境対策を進める企業が不利になり、市場全体の環境改善が進みにくくなります。

4. 環境問題への取り組み全体の信頼低下

グリーンウォッシングが横行すると、消費者や投資家が企業の環境表示全般に対して懐疑的になり、真摯に取り組む企業の努力まで疑われるようになります。これは社会全体の環境意識や行動変容を妨げる要因となります。

グリーンウォッシングの代表的なパターン分類

グリーンウォッシングにはいくつかの典型的なパターンがあります。以下、代表的な5つを紹介します。

曖昧な表現・根拠の不提示

「環境に優しい」「エコ」「グリーン」「サステナブル」といった言葉は、それ自体が曖昧であり、何をもって「優しい」「エコ」なのか明確でない場合があります。具体的な根拠やデータを示さずにこれらの表現を使用すると、消費者は誤解する可能性があります。

たとえば、「環境に優しい素材を使用」と謳いながら、どの素材がどのように環境に優しいのか、何と比較して優しいのかが説明されていないケースが該当します。

範囲のすり替え・部分的な事実の誇張

製品のライフサイクル全体や企業活動全体のうち、ごく一部だけが環境配慮されているにもかかわらず、全体が環境に優しいかのように表現する手法です。

例として、製品のパッケージだけをリサイクル素材にし、製品本体や製造プロセスには環境配慮がないにもかかわらず、「環境配慮型商品」として宣伝するケースが挙げられます。

比較条件の不明示

「従来品より○○%削減」「業界トップクラスの環境性能」といった表現において、何と比較しているのか、どの基準で評価しているのかが明示されていない場合、消費者は正確な判断ができません。

比較対象が自社の旧製品なのか、競合他社なのか、あるいはどの環境指標(CO2排出量、水使用量、廃棄物量など)を指しているのかを明確にする必要があります。

オフセット・カーボンクレジット依存の過度な強調

カーボンオフセットやカーボンクレジットを購入することで「カーボンニュートラル」を達成したと主張するケースがあります。オフセット自体は有効な手段の一つですが、自社の排出削減努力が不十分なまま、オフセットのみに依存して「環境に優しい」と訴求することは、グリーンウォッシングと見なされる可能性があります。

オフセットを利用する場合は、まず自社の排出削減努力を明示し、その上で補完的にオフセットを活用している旨を説明することが求められます。

無関係な環境イメージの利用

製品やサービスの内容とは無関係に、緑色のパッケージや自然の風景、動植物のイメージを多用して「環境に優しい」印象を与える手法です。視覚的なイメージだけで環境配慮を印象づけ、実際の環境性能や取り組みが伴わない場合、消費者を誤認させるおそれがあります。

グリーンウォッシングを見分けるチェックリスト(15項目)

企業担当者や消費者が、グリーンウォッシングの可能性を判断する際に使えるチェックリストを以下に示します。

  1. 具体的な根拠やデータが示されているか:「環境に優しい」などの主張に対して、具体的な数値、試験結果、認証情報が明示されているか確認する。
  2. 比較対象が明確か:「○○%削減」といった表現において、何と比較しているのか(自社従来品、競合品、業界平均など)が明記されているか。
  3. 環境配慮の範囲が明示されているか:製品全体なのか、一部の部品やパッケージだけなのか、どの工程・段階が対象なのかが説明されているか。
  4. 認証マークやラベルの出典が確認できるか:環境認証マークが表示されている場合、その認証機関や認証内容を確認できるか。
  5. 第三者による検証が行われているか:企業の自己申告だけでなく、独立した第三者機関による検証や認証を受けているか。
  6. 曖昧な表現に頼りすぎていないか:「エコ」「グリーン」「サステナブル」などの言葉が、具体的な説明なしに多用されていないか。
  7. 環境配慮のトレードオフが説明されているか:ある環境負荷を減らす一方で別の負荷が増える場合、そのトレードオフが開示されているか。
  8. 情報の更新頻度は適切か:環境データや目標が古いままになっていないか、定期的に更新されているか。
  9. オフセットへの依存度は適切か:自社の排出削減努力が明示され、オフセットは補完的手段として位置づけられているか。
  10. 視覚的演出と実態が乖離していないか:緑色や自然のイメージが多用されているが、実際の環境取り組みが伴っているか。
  11. ライフサイクル全体での評価がされているか:製造・使用・廃棄までの全工程で環境負荷を評価しているか、それとも一部工程のみか。
  12. 専門用語の説明は十分か:「カーボンニュートラル」「リサイクル可能」などの用語が、正確に定義・説明されているか。
  13. 情報へのアクセスは容易か:詳細データや根拠資料に消費者が容易にアクセスできるよう、URLやQRコードなどが提供されているか。
  14. 過去の実績や改善経緯が示されているか:突然「環境に優しい」と主張するのではなく、これまでの取り組みや改善の歴史が説明されているか。
  15. 法令や業界ガイドラインへの準拠が明示されているか:関連する法規制や業界の自主基準に準拠していることが明記されているか。

企業がグリーンウォッシングを避けるための実務対策

企業がグリーンウォッシングのリスクを回避し、適切な環境表示を行うためには、以下のような実務対策が有効です。

環境表現ガイドラインの整備

社内で環境に関する表現を使用する際のルールを明文化します。たとえば、「エコ」「グリーン」といった曖昧な表現を使う場合は必ず具体的な根拠を併記する、比較表現には必ず比較対象を明示するなど、具体的な基準を設けます。

根拠データ・エビデンスの事前確認

環境表示を行う前に、主張を裏付けるデータや試験結果、認証情報を必ず確認します。データの出所が明確であること、測定方法が適切であること、最新の情報であることを検証します。社内に専門知識を持つ担当者がいない場合は、外部の専門家や第三者機関に相談することも検討します。

社内レビュー体制の構築

環境に関する広告やマーケティング資料を公開する前に、法務、コンプライアンス、ESG担当などの複数部署によるレビューを実施します。チェックリストを活用し、グリーンウォッシングのリスクがないか多角的に確認します。

開示情報の透明性確保

環境データや取り組み内容をウェブサイトや報告書で詳細に開示し、消費者やステークホルダーが確認できるようにします。情報は定期的に更新し、過去からの推移や改善状況も示すことで、信頼性を高めます。また、問い合わせ窓口を設け、消費者からの質問に誠実に対応する体制を整えます。

日本におけるグリーンウォッシング関連の法規制

日本では、環境表示に関する直接的な単独法令は存在しませんが、景品表示法をはじめとする消費者保護法規がグリーンウォッシングに対する規制の基盤となっています。

景品表示法と優良誤認表示

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、商品やサービスの品質、規格などについて、実際よりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。これを「優良誤認表示」と呼びます。

環境配慮に関する表示であっても、根拠が不十分なまま「環境に優しい」「エコ商品」などと表示すれば、優良誤認表示に該当する可能性があります。消費者庁は、違反が認められた場合、措置命令を発出し、事業者に対して表示の是正や再発防止策を求めることができます。

出典:

消費者庁による「環境」表示ガイドライン

消費者庁は、「環境表示に関する検討会」などを通じて、環境表示の適正化に向けた議論を行っています。ただし、現時点(2025年1月時点)で、包括的な「環境表示ガイドライン」が正式に公表されているかは確認できませんでした。

一方、消費者庁は景品表示法の運用において、環境に関する表示についても優良誤認表示の観点から審査を行っており、事業者向けに「合理的な根拠を示す資料の提出」を求める場合があります。

企業は、消費者庁が公表する措置命令事例や、関連する業界団体のガイドラインを参照し、適切な表示を心がける必要があります。

出典:

海外におけるグリーンウォッシング規制の動向

グローバルに事業を展開する日本企業にとって、海外の規制動向も無視できません。以下、主要な地域の動きを紹介します。

EU(グリーンクレーム指令案等)

欧州連合(EU)では、環境表示の信頼性向上とグリーンウォッシング防止を目的とした規制強化が進んでいます。2023年、欧州委員会は「グリーンクレーム指令案(Green Claims Directive proposal)」を提案しました。この指令案は、企業が環境に関する主張を行う際、科学的根拠に基づく検証を義務付け、第三者による認証を求めるものです。

また、EUでは「不公正商慣行指令(Unfair Commercial Practices Directive)」の改正を通じて、根拠のない環境表示を不公正な商慣行として規制する動きもあります。

出典:

英国(CMAグリーンクレームコード)

英国の競争・市場庁(CMA: Competition and Markets Authority)は、2021年に「Green Claims Code(グリーンクレームコード)」を公表しました。このコードは、企業が環境に関する主張を行う際に守るべき6つの原則を示しています。

  1. 主張は正確で明確であること
  2. 誤解を招かないこと
  3. 省略や隠蔽がないこと
  4. 公正かつ有意義な比較であること
  5. ライフサイクル全体を考慮すること
  6. 根拠があること

CMAは、このコードに違反する企業に対して調査や是正措置を行う権限を持っています。

出典:

米国(FTCグリーンガイド)

米国では、連邦取引委員会(FTC: Federal Trade Commission)が「Green Guides(グリーンガイド)」を公表しています。これは、環境に関するマーケティング主張が欺瞞的でないようにするためのガイドラインであり、1992年に初版が発行され、定期的に改訂されています。

グリーンガイドは、「リサイクル可能」「生分解性」「カーボンオフセット」などの用語の適切な使用方法や、根拠の提示方法について具体的な指針を示しています。違反が認められた場合、FTCは法的措置を取ることができます。

出典:

関連用語との違い(グリーンハッシング等)

グリーンウォッシングと混同されやすい用語に「グリーンハッシング(Greenhushing)」があります。

グリーンハッシングとは、企業が実際には環境配慮の取り組みを行っているにもかかわらず、グリーンウォッシングと批判されることを恐れて、その取り組みを公表しない、または控えめに伝える行為を指します。つまり、グリーンウォッシングが「過剰な主張」であるのに対し、グリーンハッシングは「情報の過少開示」と言えます。

グリーンハッシングが広がると、真に環境に配慮している企業の取り組みが社会に共有されず、他社や消費者の行動変容を促す機会が失われるという問題があります。企業は、グリーンウォッシングを避けつつも、適切な根拠とともに自社の取り組みを開示するバランスが求められます。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. グリーンウォッシングは違法ですか?

グリーンウォッシング自体を直接禁止する単独の法律はありませんが、日本では景品表示法の優良誤認表示として、また海外では消費者保護法や競争法に違反する可能性があります。違反が認められた場合、行政処分や罰金、訴訟のリスクがあります。

Q2. 「エコ」や「サステナブル」という言葉を使うこと自体が問題ですか?

言葉を使うこと自体が問題なのではなく、その言葉を使う際に具体的な根拠や説明が伴っていないことが問題です。これらの用語を使用する場合は、何がどのように環境に配慮されているのかを明確に示す必要があります。

Q3. カーボンオフセットを利用すれば「カーボンニュートラル」と表示してよいですか?

カーボンオフセットを利用すること自体は有効な手段ですが、自社の排出削減努力が不十分なまま、オフセットのみに依存して「カーボンニュートラル」と表示すると、グリーンウォッシングと見なされる可能性があります。自社の削減努力とオフセットの内容を明確に開示することが求められます。

Q4. 環境認証マークがあれば安心ですか?

環境認証マークは信頼性の一つの指標ですが、その認証の範囲や基準を確認することが重要です。また、認証マークを装飾的に使用し、実際の認証内容を正確に伝えていない場合もあるため、認証機関や認証内容を確認する必要があります。

Q5. 小規模企業でもグリーンウォッシング対策は必要ですか?

企業規模にかかわらず、環境表示を行う場合はグリーンウォッシングのリスクがあります。小規模企業であっても、根拠に基づいた正確な表示を心がけることで、消費者の信頼を得られ、長期的なブランド価値向上につながります。

Q6. グリーンウォッシングを指摘されたらどうすればよいですか?

まず、指摘内容を真摯に受け止め、社内で事実関係を確認します。問題があれば速やかに表示を修正し、再発防止策を講じます。消費者や関係者に対して誠実に説明し、信頼回復に努めることが重要です。

Q7. 海外で事業展開する場合、どの国の規制に注意すべきですか?

事業を展開する国・地域の規制に準拠する必要があります。特にEU、英国、米国は規制が厳しく、違反時のペナルティも大きいため、各国の法令やガイドラインを事前に確認し、専門家の助言を受けることを推奨します。

Q8. 環境データの開示範囲はどこまで必要ですか?

法的に義務付けられている範囲は国や業種によって異なりますが、消費者や投資家の信頼を得るためには、可能な限り透明性を高めることが望ましいです。ライフサイクル全体のデータ、第三者検証の有無、改善の経緯などを開示することで、信頼性が向上します。

まとめ

グリーンウォッシングとは、実態以上に環境への貢献を誇張・偽装して消費者を誤認させる行為であり、消費者の選択を歪め、市場の公正な競争を阻害し、真に環境配慮を実践する企業の努力を損なう問題です。

日本では景品表示法、海外ではEUのグリーンクレーム指令案、英国のCMAグリーンクレームコード、米国のFTCグリーンガイドなど、各国で規制が強化されています。企業は、曖昧な表現を避け、具体的な根拠とデータに基づいた環境表示を行い、社内ガイドラインの整備やレビュー体制の構築を通じて、グリーンウォッシングのリスクを回避する必要があります。

また、グリーンウォッシングを恐れて情報開示を控える「グリーンハッシング」にも注意し、適切な根拠とともに自社の取り組みを透明に開示することが、長期的な信頼とブランド価値の向上につながります。

今後、環境規制や消費者の環境意識はさらに高まることが予想されます。企業は、コンプライアンスを守りながら、真摯に環境課題に取り組み、その成果を正確に伝えることで、持続可能な社会の実現に貢献することが求められます。

 

update: 2026.1.18