
高齢社会の介護問題が深刻化する理由|現場の実情と今後の課題|制度・現場・家庭に広がる影響を総まとめ
update: 2026.1.18
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高齢社会の介護問題が深刻化する理由|現場の実情と今後の課題|制度・現場・家庭に広がる影響を総まとめ
介護現場が緊迫状態であることが分かるニュースや報道が頻繁に取り上げられるようになっています。少子高齢化が一段と進む中、日本では高齢者人口が増え続ける一方で、支える側の現役世代は大きく減少していくと予測されています。こうした人口構造の変化は、介護や医療、社会保障制度に深刻な影響を及ぼすと考えられています。
本記事では、高齢化が進む日本社会でどのような課題が生じているのか、介護現場や家庭、社会全体への影響を中心に解説します。
日本の高齢化問題はどれほど深刻なのか?
高齢化の推移と現状
内閣府の調査によると、令和5年の10月時点で65歳以上人口は全人口の29.1%を占めていることが分かりました。1950年では65歳以上人口は総人口の5%にも満たしていなかったことから、少子高齢化がかなり進んでいることがわかります。(グラフの数字は少数第一位を四捨五入しています。)
1 高齢化の現状と将来像|令和6年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
日本は1970年に高齢化社会、1994年からは高齢社会に、さらに2007年から超高齢社会に突入しました。また、2007年では人口の約5人に1人が65歳以上となりました。
日本の高齢化は少子化の影響も大いに受けています。
下のグラフから分かる通り、1950年には2943万人いたこどもの数は2025年には1366万人まで減少していて、1950年の53.6%も子供が減少しています。
他国の高齢化率との比較
日本の高齢化率は世界で最も高いですが、他国とどのくらい差があるのでしょうか。
世界の総人口に占める65歳以上人口は1950年には5.1%でしたが、2020年には9.3%となっており、世界全体でも長寿化が進んでいます。
韓国も日本と同じく高齢化が進んでいて、いずれ日本の高齢化率を大幅に超すことが予想されます。
2 高齢化の国際的動向|令和7年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
また、下のグラフより、日本の高齢化率は他の開発途上地域の平均を上回っているだけではなく、先進国の平均を大幅に上回っています。医療技術の発展により、他の地域でも高齢化が進むと予想されていますが、この傾向はしばらく続くとされています。
平均寿命と健康寿命の差
平均寿命は生まれてから亡くなるまでの期間を指すのに対し、健康寿命は日常生活を制限なく自立して過ごせる期間を指します。国際的には、平均寿命と健康寿命の差を縮めながら、両者を延ばすことが重要な目標とされています。
健康な状態で長く生活できれば、医療・介護サービスや老人ホームへの支出を抑えることが可能となります。健康寿命の延伸は、個人の生活の質を高めるだけでなく、社会全体にも大きなメリットをもたらすでしょう。介護費用や医療費の抑制につながるほか、高齢者が就労や社会参加を続けやすくなり、労働力の確保という観点からも重要である。
では、日本における平均寿命と健康寿命の差はどのくらいなのでしょうか。平成13年から令和4年までの21年間で、平均寿命は男性が2.98年、女性が2.16年延びている一方、健康寿命も男性は3.17年、女性は2.8年と伸びています。健康寿命が平均寿命の延びには追い付いておらず、依然として平均寿命と健康寿命の差は大きいままです。二つの差は、令和四年時点で男性で8.48年、女性では11.64年となっています。
図:平均寿命と健康寿命の推移
【資料】平均寿命︓平成13・16・19・25・28・令和元・4年は、厚⽣労働省「簡易⽣命表」、平成22年は「完全⽣命表」 健康寿命︓厚⽣労働科学研究において算出
2040年に向けた人口構造の変化とその影響
厚生労働省は、今後も日本は少子高齢化の進行で人口全体が減少することを見込んでいます。
高齢化率の伸びは落ち着く一方、2035年までは85歳以上人口の大幅な増加が続くと推定されています。2040年には20~64歳人口、言い換えれば労働力人口が、日本の人口全体の半分ほどになると見込まれています。また、一方では外国人労働者が急激に増えていて、2024年の外国人労働者数は10年前の2014年に比べて約3倍の数となり、日本の労働力の重要な役目を担っているでしょう。
高齢者の増加に伴い、社会保障費は増大する一方、生産年齢人口減少によって制度を支える側の人数は減っていきます。この構造は、現役世代一人ひとりの社会保障負担を押し上げていくことが予想されます。
生産年齢人口の減少と高齢者人口のピーク
日本の総人口は14年連続で減少していて、2040年頃には高齢化人口はピークを迎えると言われています。
生産年齢人口(15~64歳)に関しては、1990年に比べ2024年には1217万人減少しています。一方で労働力率は1990年においても2024年でも63.3%とほとんど変わりません。これは働く女性や高齢者が増えたことや、外国人労働者受け入れ拡大が一因とされています。
高齢化の伸び率は横ばいになりつつあるものの、2024年には、高齢者人口は過去最高となりました。65歳以上は3624万人、75歳以上は2077万人を記録しています。
人口減少による地方格差の拡大
人口減少が進む日本では、都市部と地方の地域格差が一段と広がっています。地方では若年層の流出により、バス路面の廃止や窓口の縮小、学校の統合が地方などの、公共サービスやインフラの縮小が起こっています。日常生活の利便性が低下することで、さらに若年層の都市部への流出が進んでいます。また、それにより、企業は地方での売り上げを確保できず、都市部に移転していくという悪循環が生まれています。
また、介護・医療サービスへのアクセスが悪いだけではなく、買い物難民や通院困難といった問題は高齢者ほど深刻で、住む地域によって受けられるサービスに大きな差が生まれています。一方で、行政や施設を集約する「コンパクトシティ化」が進められていますが、移動手段を失った住民が取り残されるケースも少なくありません。
高齢者世帯の増加
令和5年時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯は全体の49.5%と、ほぼ半数を占めています。また、高齢者の一人暮らしも男女ともに増加しており、高齢者単独世帯はここ15年で約1.8倍に急増したとされています。配偶者との死別や子どもの独立、地域コミュニティの希薄化などが背景にあり、見守りや支援が行き届きにくい世帯が増えている点は大きな課題です。
増え続ける介護需要と現場の課題
高齢者人口の増加に伴い、要介護者の数は年々増加しています。推計では、2055年には日本の総人口の約25%が要介護者になるとされており、介護需要は今後さらに拡大すると見込まれています。こうした状況を受け、2040年までに新たに約57万人の介護職員を確保する必要があると推定されています。これは現在の介護職員数のおよそ2割に相当します。
一方、介護現場では深刻な人材不足が続いています。業務の身体的・精神的負担の大きさに対して賃金水準が低く、離職率が高いことが課題です。また、介護施設の不足や地域偏在により、必要なサービスを十分に提供できない地域もあります。介護需要が増え続ける中、現場の負担は限界に近づいており、制度と実態の乖離が大きな問題となっています。
介護保険制度における財源の問題
日本では急速な高齢化の進行により、介護給付費が年々増加し、財政への負担が大きくなっています。令和6年度予算における介護給付費は13.2兆円に達しており、社会保障費全体の中でも大きな割合を占めています。
一方で、介護保険給付費は国の歳出において「義務的経費」に分類されているため、景気や財政状況に応じて簡単に削減することはできません。給付の抑制が難しい中で支出だけが膨らみ続ける構造は、制度の柔軟な運営を妨げています。この硬直的な財政構造こそが、介護保険制度の持続可能性を脅かす大きな要因となっています。
制度が追いつかない現場の実情
介護現場ではスタッフ不足が深刻化しており、一人当たりの業務量が増え、長時間労働が常態化しています。その結果、職員同士の情報共有や連携が十分に行えず、利用者へのケアが行き届かないなど、サービスの質の低下につながっています。
また、介護現場ではケア記録や各種加算を取得するための書類作成など、事務作業が非常に多いのが実情です。制度を守るために必要な業務ではあるものの、利用者と向き合う時間が削られ、現場では本末転倒だと感じられる場面も少なくありません。
さらに、介護保険サービスを利用するには原則として要介護認定が必要ですが、申請から認定までには通常1〜2か月を要します。その間、十分な公的支援を受けられないケースも多く、特に家族介護に頼らざるを得ない家庭では、介護負担が急激に増大します。
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介護人材の不足と離職率の高さ
介護人材不足も特に深刻な状況となっています。
介護労働実態調査では、2009年には介護職員が不足している、もしくは大いに不足していると答えた人は10パーセントにも満たなかったのに対し、2025年には34.7パーセントにまで上昇しています。
有効求人倍率とは、ハローワークに登録している求職者数に対して、企業が出している求人の数がどれだけあるかを示す指標です。例えば、10人の求職者に対して20件の求人がある場合、有効求人倍率は2.0となります。この数値が1を上回るほど、求職者1人あたりに複数の求人が存在することを意味します。
有効求人倍率が高い状態では、企業は人材を確保しにくくなり、求職者にとっては仕事を選びやすい環境となります。一方、倍率が低い場合は求職者が仕事を得にくく、企業側が優位な状況だといえます。
現在、少子高齢化が進む日本では、生産年齢人口の減少により労働力不足が深刻化しています。定年退職や高齢化によって働き手が減る一方で、介護分野は人手需要が拡大しています。その結果、求職者数よりも求人の数が上回り、有効求人倍率は上昇しやすくなっています。
下のグラフより、全職業ではどの年代でも倍率が2未満である一方、介護関連職種は5を超えることもあります。
介護人材が不足している理由
介護人材が不足している理由には、まず若者が介護職に定着しにくい点が挙げられます。介護現場では身体的負担が大きい業務が多い一方で、賃金水準は他産業と比べて低く、長期的なキャリアを描きにくいと感じられがちです。また、高齢化の進行により介護需要が急増していることも、人手不足を深刻化させています。介護分野では、求職者1人に対して3~4件の求人があるとされ、慢性的な人材不足の状態が続いています。
しかし、人材不足の原因は賃金や労働条件だけではありません。令和5年度に介護労働安定センターが実施した調査によると、介護関係の仕事を辞めた理由として最も多かったのは「職場の人間関係に問題があったため」でした。人材確保には、処遇改善だけでなく、職場環境やマネジメントの改善も不可欠です。
介護施設の不足
人手不足の深刻化で閉業
高齢者が増えたから、需要に供給が追い付いていない
現場では人手不足で、定員いっぱいには受け入れることは難しい。空きがあっても入れない。
また、施設の経営が上手くいっていない。3割以上の施設で赤字経営が続いている
社会福祉法人が合併や閉鎖を選択
また、老朽化した施設の建て替えを断念する。
介護現場では深刻な人手不足により、事業の継続が難しくなり、閉業に追い込まれる施設も増えています。高齢者の増加によって介護需要は拡大していますが、人材確保が追いつかず、供給が需要に対応できていない状況です。人手不足のため、定員に空きがあっても十分に受け入れられない施設も少なくありません。
また、介護施設の経営環境も厳しさを増しています。3割以上の施設が赤字経営に陥っているとされ、社会福祉法人の中には合併や閉鎖を選択するケースも見られます。さらに、老朽化した施設の建て替えや改修を断念せざるを得えず、そのまま閉業するケースも見られます。
介護職員の高齢化
年々介護需要が高まる一方で、介護職員の高齢化も急速に進行しており、介護現場に深刻な影響を与えています。その背景には、若者の介護職離れに加え、人手不足を補うために定年後も働き続ける高齢の介護職員が増えていることがあります。
しかし、介護業務は入浴介助や移乗など体力を必要とする作業が多く、高齢の職員にとって身体的負担は大きいのが実情です。転倒や腰痛といった事故のリスクも高まり、労災につながる可能性も指摘されています。介護職員の高齢化は、人材不足を補う一方で、現場の安全性や持続性という新たな課題を生んでいます。
家庭内介護の現実
老老介護・認認介護の増加
老老介護とは、65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護することを指します。また、認認介護も認知症高齢者が同じく認知症高齢者を介護することを指します。
高齢化の進行により、認認介護や老老介護の増加も深刻な問題となっています。
介護は入浴や着替えの手伝いなど体力を必要とする場面が多いです。介護者も高齢であれば、上手く相手の体を支えきれず両者とも転倒するおそれがあります。また、お互いに認知症であれば介護できる状況ではありません。服薬の管理が不十分になったり、介護を放棄したり、さらには虐待につながるおそれもあります。
高齢者の一人暮らしと孤立
高齢者の一人暮らしは年々増加しています。2020年時点で、65歳以上の一人暮らし高齢者は約627万人でしたが、2040年には約896万人に達すると見込まれています。背景には、少子高齢化や核家族化の進行、配偶者との死別などがあります。
一人暮らしの高齢者が抱えるリスクは多岐にわたります。認知症を発症しても周囲が気づきにくく、症状が進行する恐れがあります。また、熱中症や誤嚥といった緊急性の高い事態が起きても、迅速な対応ができないケースがあります。災害時には避難の判断や行動が遅れ、命に関わる危険性も高まります。さらに、金銭管理が難しくなり、詐欺などの犯罪に巻き込まれるリスクも指摘されています。
加えて、高齢者の孤立は心身の健康にも大きな影響を与えます。家族との死別や社会とのつながりの減少により、うつ病を発症したり、脳への刺激が減ることで認知症が進行しやすくなります。孤立が深まることで孤独死のリスクも高まり、実際に日本では自宅で亡くなる高齢者の割合が増加しています。
家族の介護負担
高齢者を介護する家族の負担は、日常生活のあらゆる場面に及びます。高齢者が認知症の場合、意思疎通が難しかったり、本人がもの忘れを認めなかったりすることで精神的ストレスが溜まることがあります。また、排泄介助では体を支える必要があり、介護者の腰や膝への負担に加え、心理的抵抗感も伴います。
さらに、他の家族が遠方に住んでいると協力を得にくく、介護は一人に集中しがちです。高齢者と一対一の閉鎖的な環境は、介護者自身の社会的孤立を招く要因にもなっています
ヤングケアラーの実態
ヤングケアラーとは、本来大人が担うべき家族の介護や世話を日常的に行っている子どもや若者を指します。祖母の介護のため、学校から帰るとすぐに介護を行い、遅刻や欠席を余儀なくされるケースもあります。睡眠不足や学習時間の不足は、成績の低下だけでなく、学習意欲そのものを失わせる要因となります。
また、過度な責任や孤独感から強いストレスを抱え、うつ病などの精神疾患を発症する例もあります。友人と遊ぶ時間や部活動に参加できず、同年代との関係が築きにくくなることも問題です。
背景には、親が高齢になってから子どもを持った家庭や、家族内で介護を担える大人が不足している状況があります。家庭内で問題が完結し、支援につながりにくい点も課題です。
高齢者の貧困
現在の高齢者の貧困状況
高齢者の相対的貧困も見過ごせない問題である。
厚生労働省が行っている国民生活基礎調査(2023年)では、65歳以上の一人あたり平均所得金額は203万円であった。この数値は29歳以下の平均所得金額の227万円を下回っていることになる。また、65歳以上の高齢世帯の貧困率は20%を超えるとされている。これらの数値から、高齢期においても経済的に厳しい状況に置かれる人が少なくない現実が浮き彫りになっている。
高齢者が貧困状態に陥ると、食生活の質が低下し、健康問題に大きな影響を及ぼす。また、経済的理由から必要な介護サービスを利用できない場合もあり、生活の安全が脅かされる危険性がある。
高齢者が貧困に陥ってしまう理由
第一に、特に女性の就労環境が挙げられる。女性は保育士や介護職など、賃金水準の低い「ピンクカラー職業」に就く傾向が強い。さらに、家事や育児といった無償労働を女性が担うべきだという社会的意識が、正規雇用や十分な年金加入の機会を奪い、老後の貧困につながっている。
第二に、年金制度の構造的問題がある。自営業者やフリーランスは厚生年金に加入できず、国民年金のみを受給するケースが多い。その結果、受給額が低く、制度そのものが貧困を生みやすい仕組みとなっている。
第三に、単身世帯や高齢者夫婦のみの世帯が増えている点である。家賃や水道光熱費などの固定費は一人当たりの負担が重く、生活コストが割高になりやすい。これが高齢者の経済的不安をさらに強めている。
社会全体に広がる影響
社会保障費の増大と現役世帯の負担
少子高齢化の進行により、現役世代の社会保障負担は確実に増加しています。内閣府の推計によると、2020年時点で高齢者1人を約2人の現役世代で支えていましたが、2040年には約1.5人で支える構造になるとされています。支える人数が減る中で、医療費や介護給付費、年金支出は拡大を続けており、制度維持のために一人当たりの負担は重くならざるを得ません。実際、社会保険料は給与から自動的に差し引かれ、現役世代の可処分所得を圧迫しています。また、一般会計の予算における社会保障費の割合は、1990年から2024年度にかけて17.5%から33.7%に上がっていました。
下のグラフは国立社会保障・人口問題研究所の令和5年度、社会保障費用統計の概要に掲載されているグラフです。
緑の線が年金、青が医療、黄色が福祉その他を表しているが、どの部門でも増加傾向にあることが分かります。特に、年金は高齢年金給付の増加によって支出が増えています。定期的に制度は改善されていますが、それでもなお社会保障給付費の増加を避けられていない状態です。
世代間の不公平さ
現在、現役世代は給料から年金保険料が自動的に差し引かれ、大きな経済的負担を担っている。現在の高齢世代は、2050年以降の少子高齢社会と比べれば、相対的に低い負担で制度の恩恵を受けていることになるだろう。一方、今の現役世代は高額な保険料を支払っているが、将来その負担に見合う年金を受け取れる保証はない。少子高齢化のさらなる進行により、将来の年金給付は減額される可能性が高いからだ。この負担と給付の不均衡は、年金制度に対する不信と世代間の不公平を拡大させている。
これから求められる取り組みとは?
国の施策の見直し
少子高齢化が進む中、国の施策の見直しは不可欠です。まず重要なのが、少子化対策としての子育て世代への経済的支援です。教育費や保育費の負担を軽減し、安心して子どもを産み育てられる環境を整えることが、将来的な労働力確保につながります。
あわせて、社会保障制度における給付と負担のバランスの見直しも求められています。現役世代の負担が過度にならないよう制度の持続性を高めるとともに、雇用改革を通じて高齢者が活躍できる場を確保することが必要です。
さらに、介護分野では人材確保のための待遇改善が欠かせません。介護職員への賃金補助などの支援を強化し、多様な年齢や国籍の人材を受け入れる必要があります。同時に、非正規雇用の拡大による正規・非正規間の不公平を是正する雇用環境を整備する必要があります。これは老後の貧困率を下げることにつながります。
介護ロボットやICTの活用による効率化
介護ロボットやICTの活用は、介護現場の業務効率化と人手不足対策として期待されています。介護ロボットを導入することで、移乗介助や排泄支援など身体的・心理的負担の大きい業務を軽減でき、夜間対応といった職員の負担が集中しやすい場面でも効果を発揮します。見守り機能を備えた機器では、利用者の起床や異変をセンサーが感知し、ナースコールで知らせるため、巡回回数の削減にもつながります。
また、ICT技術の活用により記録の電子化やスタッフ間の情報共有が進み、申し送りの負担軽減や業務の効率化が可能になります。一方で、導入コストの高さや利用者・職員の抵抗感から普及は限定的です。高齢者が多い介護現場では、慣れた業務方法を変えることへの不安も根強く、一時的な効率低下を理由に従来の方法へ戻るケースもあります。
それでも、介護需要が今後さらに増加する中で、限られた人員で現場を支えるためには、介護ロボットやICTの導入は避けて通れない取り組みです。
福祉サービスの多様化
高齢者といっても、健康状態や家族構成、経済状況は人それぞれです。一人暮らしや認知症、老老介護、外国人高齢者など、従来の画一的な制度では対応しきれないケースが増えています。そのため、福祉サービスにも多様性が求められています。
近年は、配食サービスや買い物代行といった生活支援型サービスが広がっています。足腰が弱い人や認知機能が低下している人にとって、一人での外出や買い物は大きな負担になります。買い物付き添いサービスでは、支援を受けながら自分で商品を選ぶ楽しみを維持できる点が特徴です。
また、地域ボランティアやNPOによる訪問型の見守り活動も重要な役割を果たしています。定期的な訪問や日常的な会話を通じて、高齢者の社会的孤立を防ぐ効果が期待されています。さらに、民間企業による高齢者向けのサブスクリプション型支援など、新しい形の福祉サービスも登場しています。
まとめ|高齢社会で直面する介護の現実と課題
日本の高齢化は、介護需要の急増や社会保障費の拡大、現役世代の負担増など、社会全体に深刻な影響を及ぼしています。老老介護や高齢者の孤立、介護人材不足といった問題は、すでに現場で表面化しています。
また、現在社会では 介護問題への急速な対策が求められています。制度の見直しやICTの活用、福祉サービスの多様化を進めることで、誰もが安心して暮らせる高齢社会を実現していく必要があるでしょう。
update: 2026.1.18
