
マイクロプラスチックとは?定義から人体への影響、最新研究まで徹底解説
update: 2025.11.30
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マイクロプラスチックとは?定義から人体への影響、最新研究まで徹底解説
私たちの生活に欠かせないプラスチック。しかし、その微細な破片「マイクロプラスチック」が、海洋だけでなく大気、土壌、さらには私たちが日常的に口にする食品にまで広がっていることをご存知でしょうか。本記事では、マイクロプラスチックの基本的な定義から発生原因、環境や人体への影響、そして最新の研究動向まで、信頼できる公的機関や学術研究をもとに詳しく解説します。誤情報も多いこのテーマについて、科学的根拠に基づいた正確な情報をお届けします。
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックの定義
マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下の微細なプラスチック粒子を指します。この定義は国際的に広く採用されており、環境省も同様の基準を用いています。
肉眼では見えにくいほど小さなものから、砂粒程度の大きさまで含まれ、形状も球状、繊維状、破片状とさまざまです。
一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの違い
マイクロプラスチックは、その発生過程によって2つに分類されます。
一次マイクロプラスチックは、製品として最初から微細なサイズで製造されたものです。化粧品や洗顔料に含まれるマイクロビーズ、工業用のプラスチックペレットなどがこれに該当します。
二次マイクロプラスチックは、もともと大きなプラスチック製品が環境中で劣化・破砕されて微細化したものです。ペットボトルやレジ袋、漁網などが紫外線や波の作用で細かく砕かれて生成されます。
海洋だけでなく「大気・土壌・食品」に広がる汚染
マイクロプラスチック問題は当初、海洋汚染として注目されましたが、現在では汚染範囲がはるかに広いことが明らかになっています。
大気中にもマイクロプラスチックが浮遊しており、都市部だけでなく山岳地帯や極地からも検出されています。土壌中にも蓄積が進んでおり、農地での検出例も報告されています。さらに、魚介類、食塩、飲料水といった私たちが日常的に摂取する食品からも検出されています。
(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)
マイクロプラスチックが発生する原因
一次マイクロプラスチック
マイクロビーズ(化粧品など)
洗顔料やボディスクラブ、歯磨き粉などに含まれるマイクロビーズは、スクラブ効果を目的として意図的に添加された微小なプラスチック粒子です。これらは下水処理では完全に除去できず、河川や海洋に流出します。
産業用途のペレット
プラスチック製品の原料として使われる数ミリメートル程度のペレット(レジンペレット)も、製造・輸送過程での流出により環境中に放出されることがあります。
二次マイクロプラスチック
ペットボトル・袋の劣化
ペットボトルやレジ袋などのプラスチック製品は、環境中で紫外線や熱、波の作用により劣化します。この過程で徐々に細かく破砕され、マイクロプラスチックとなります。
洗濯による繊維片
ポリエステルやアクリルなどの合成繊維でできた衣類を洗濯すると、繊維の破片が水とともに排出されます。これらの繊維片もマイクロプラスチックの主要な発生源のひとつです。
生活の中で発生する代表例
私たちの日常生活では、さまざまな場面でマイクロプラスチックが発生しています。
使い捨てプラスチック製品の使用、合成繊維製品の洗濯、タイヤの摩耗による粒子の発生、人工芝の劣化など、意識していないところで環境中にマイクロプラスチックが放出されています。
(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)
マイクロプラスチックの問題点(環境への影響)
海洋生態系への影響
魚・海鳥の摂食
マイクロプラスチックは海洋生物によって餌と誤認され、摂食されることが確認されています。魚類、海鳥、ウミガメなどの消化管からマイクロプラスチックが検出されたという研究報告が多数存在します。
摂食されたマイクロプラスチックは消化されずに体内に残留する可能性があり、生物の栄養摂取を阻害したり、消化器官を傷つけたりする懸念があります。
生物多様性への影響
マイクロプラスチックの摂食や蓄積が、海洋生態系全体に影響を及ぼす可能性が指摘されています。特に、食物連鎖を通じた生物濃縮の懸念もあります。
陸上・土壌への影響
マイクロプラスチックは海洋だけでなく、土壌にも蓄積しています。下水汚泥を肥料として農地に利用することで土壌中に混入したり、大気から降下したりすることで、陸上生態系への影響も懸念されています。
土壌中のマイクロプラスチックが土壌微生物や植物の成長に与える影響については、現在研究が進められている段階です。
大気への拡散
マイクロプラスチックは大気中にも存在し、風によって広範囲に運ばれることが明らかになっています。都市部から離れた山岳地帯や北極・南極といった極地でもマイクロプラスチックが検出されており、地球規模での汚染が進んでいることを示しています。
(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)
マイクロプラスチックは人体に入るのか
食品からの摂取
魚介類
マイクロプラスチックを摂食した魚介類を私たちが食べることで、間接的にマイクロプラスチックを摂取している可能性があります。特に、内臓ごと食べる小魚や貝類では、マイクロプラスチックの検出例が報告されています。
食塩
海水から製造される食塩には、マイクロプラスチックが含まれている可能性があります。複数の国の食塩を調査した研究では、多くのサンプルからマイクロプラスチックが検出されました。
ミネラルウォーター
ペットボトル入りのミネラルウォーターからもマイクロプラスチックが検出されたという研究報告があります。ボトル自体からの溶出や、製造過程での混入などが考えられています。
飲料水・空気からの摂取
水道水からもマイクロプラスチックが検出されたという研究があります。また、大気中に浮遊するマイクロプラスチックを呼吸によって吸入している可能性も指摘されています。
体内で何が起きる?
吸収されるのか
マイクロプラスチックが体内に取り込まれた後、消化管から血液中に吸収されるかどうかは、粒子のサイズや形状によって異なると考えられています。非常に微細な粒子の場合、腸管から吸収される可能性が示唆されていますが、詳細なメカニズムは研究途上です。
排出されるのか
多くのマイクロプラスチックは消化されずに排泄されると考えられていますが、一部は体内に残留する可能性も指摘されています。ヒトの便からマイクロプラスチックが検出されたという研究もあります。
健康リスクは現時点では不明点が多い
マイクロプラスチックの人体への健康影響については、現時点では科学的に明確な結論は出ていません。
WHOは2019年の報告書において、現在の研究では飲料水中のマイクロプラスチックによる健康リスクは限定的であるとしながらも、さらなる研究が必要であると指摘しています。
マイクロプラスチックそのものの物理的影響だけでなく、プラスチックに含まれる添加剤や吸着した化学物質の影響についても研究が進められています。
(出典:環境省「洗顔料や歯磨きに含まれる マイクロプラスチック問題」)
「マイクロプラスチックは嘘?」誤情報と研究の真実
SNSで拡散した誤解
インターネット上では、「マイクロプラスチック問題は誇張されている」「科学的根拠がない」といった情報が拡散されることがあります。
これらの主張の多くは、研究が発展途上であることや、健康影響が完全には解明されていないことを、「問題自体が存在しない」と誤解したものです。
科学的に判明していること
マイクロプラスチックの存在そのものは、世界中の研究機関によって確認されており、疑いの余地がありません。海洋、大気、土壌、食品から検出されていることは科学的事実です。
ただし、「どの程度の濃度で」「どのような健康影響があるか」については、現在進行形で研究が進められている段階です。不確実性が残っていることは、問題が存在しないことを意味するのではなく、予防的アプローチの重要性を示しています。
論文・研究で分かっている最新知見
海外主要研究
国際的な科学誌には、マイクロプラスチックに関する研究が数多く発表されています。
海洋中のマイクロプラスチック分布、海洋生物への影響、大気中での輸送、土壌汚染など、多角的な研究が進められています。特に、プラスチック粒子の挙動や生態系への影響については、データの蓄積が進んでいます。
人体への影響研究
人の血液や肺組織からマイクロプラスチックが検出されたという研究報告も出てきていますが、これらの発見が具体的にどのような健康影響をもたらすかについては、まだ結論が出ていません。
現在、疫学的調査や動物実験などを通じて、健康リスクの評価が進められています。
今後の研究課題
今後の重要な研究課題としては、以下が挙げられます。
マイクロプラスチックの標準的な測定方法の確立、より小さなナノプラスチックの検出と影響評価、長期的な健康影響の解明、生態系全体への影響の把握などです。
マイクロプラスチック問題の世界と日本の現状
各国の規制
国際的には、マイクロプラスチック汚染への対策が進められています。
米国では2015年にマイクロビーズ除去海域法が成立し、化粧品や医薬品へのマイクロビーズ使用が禁止されました。欧州連合(EU)でも、使い捨てプラスチック製品の規制や、マイクロビーズを含む製品の制限が進められています。
日本政府の政策・法整備
日本では2019年に「プラスチック資源循環戦略」が策定され、2030年までに使い捨てプラスチック排出量を25パーセント削減する目標が掲げられました。
2022年には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)が施行され、プラスチック製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体での資源循環が推進されています。
また、環境省は海洋プラスチックごみ対策として、国内外での調査研究、国際連携、発生抑制対策などを進めています。
(出典:環境省「プラスチック資源循環戦略」)
社会・企業・市民ができる対策
個人ができる対策
私たち一人ひとりができる対策は数多くあります。
使い捨てプラスチック製品の使用を減らし、マイバッグやマイボトルを活用することが基本です。洗顔料や化粧品を選ぶ際には、マイクロビーズが含まれていないものを選ぶことも重要です。
合成繊維の衣類を洗濯する際には、洗濯ネットを使用することで繊維片の流出を抑制できます。また、プラスチック製品を正しく分別してリサイクルに出すことも、新たなプラスチックごみの削減につながります。
企業・ソーシャルビジネスの取組
多くの企業が、マイクロプラスチック問題への対応を進めています。
化粧品業界では、マイクロビーズに代わる天然由来のスクラブ材への切り替えが進んでいます。食品・飲料業界では、プラスチック容器の削減や、生分解性素材への転換が試みられています。
アパレル業界では、洗濯時の繊維片流出を抑える製品開発や、リサイクル素材の活用などが進められています。
行政・自治体の取組
地方自治体でも、プラスチックごみ削減に向けた取組が広がっています。
レジ袋の有料化やペットボトル回収の強化、住民への啓発活動などが各地で展開されています。一部の自治体では、マイクロプラスチック調査を独自に実施し、地域の実態把握に努めています。
(出典:環境省「プラスチック資源循環戦略」)
まとめ
マイクロプラスチックは、5ミリメートル以下の微細なプラスチック粒子であり、海洋、大気、土壌、さらには私たちの食品にまで広がっている環境問題です。
一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの両方が、私たちの日常生活のさまざまな場面から発生し、生態系や環境に影響を与えています。人体への健康影響については現時点で明確な結論は出ていませんが、予防的観点から対策を進めることが重要です。
この問題の解決には、個人の行動変容、企業の技術革新と責任ある製品開発、そして行政による規制と支援策が、それぞれ連携して取り組む必要があります。
一人ひとりができることから始め、社会全体でプラスチック資源の循環を実現していくことが、持続可能な未来への第一歩となります。
update: 2025.11.30




