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【企業まとめ】再生可能エネルギー事業やその積極的活用を進める日本の企業|脱炭素の未来への挑戦

update: 2025.11.15

【厳選】再生可能エネルギー事業やその積極的活用を進める日本の企業まとめ|脱炭素の未来への挑戦

 

私たちの暮らしを支えるエネルギーが、いま大きく変わろうとしています。

再生可能エネルギーは「環境にやさしい」だけではなく、企業の成長や安心につながる新しい力になりつつあります。ここでは、つくる企業/つかう企業の両方の視点からそれぞれの挑戦と工夫を紹介します。

 

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギー(英語では「renewable energy」)とは、太陽や風力など、自然界において継続的・再生的に得られるエネルギー資源を指します。化石燃料のように枯渇しない点が特徴です。

近年新たに発電方法が考案されたエネルギー資源も含めると、その種類は10〜15種類となります。ここでは広く世界中で活用が進む5つの再生可能エネルギーについて紹介します。

 

  • 太陽光発電

太陽光や太陽熱を利用して発電・給湯・冷暖房などに活用する技術です。世界中で最も広く知られている発電方法です。

  • 風力発電

地上・洋上の風の運動エネルギーを風車(タービン)で電気に変換する技術です。地点や風の強さ/安定性が鍵となります。

  • 水力発電

河川やダムなど水の落下・流動エネルギーをタービンで発電に変える方法です。規模の大きいものから、マイクロ水力まで多様な形があります。

  • 地熱発電

地中・地球内部の熱エネルギーを利用して蒸気や熱水を取り出し、発電や温暖・冷暖房用途に使う技術です。

  • バイオマス発電

植物・動物の有機物(木材/農業廃棄物/バイオガスなど)を燃料として活用する方法です。燃焼だけでなくメタン発酵やバイオ燃料化など、用途は多岐にわたります。

 

再生可能エネルギーについてさらに知りたい方はこちら:

https://socialactcareer.com/magazine/1400/

再生可能エネルギーの現状

近年、世界では再生可能エネルギーの導入がこれまでにないスピードで進んでいます。特に太陽光と風力は、爆発的に新設数が増加しました。

環境・エネルギー分野のシンクタンクである英Ember(エンバー)が発表した調査レポート「Global Electricity Review 2024」によると、2023年は初めて再生可能エネルギーが世界の発電量の30%以上を占めました。

 

参考:Report – Global Electricity Review 2024

 

世界中で加速する脱炭素・カーボンニュ-トラル

地球温暖化の進行に応じて、国際社会は段階的に温室効果ガス削減の枠組みを整えてきました。当初は先進国中心の削減義務から始まり、後にすべての国が参加する方向へ転換し、より持続可能性を重視した取り組みへと発展します。

ここでは代表的な3つの国際枠組みを紹介します。

 

  • 京都議定書(採択1997年/発効2005年)

先進国に温室効果ガス削減義務を課す初の法的拘束力ある条約です。

  • SDGs(採択2015年/開始2016年)

持続可能な社会の実現に向けた17の目標で、2016年から2030年を達成期間として運用が始まりました。

  • パリ協定(採択2015年/発効2016年)

すべての国が参加し、気温上昇を1.5〜2℃以内に抑えることを目指す枠組みで、2016年11月に発効しました。

国際再生可能エネルギー機関 (IRENA) による再生可能エネルギーランキング

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は各国の再生可能エネルギー導入状況を可視化するため、設備容量や発電量などのデータをランキング形式で公開しています。これにより国際的な比較を可能にし、各地域の政策づくりや再生可能エネルギーの普及促進を目的としています。

ランキングとしてまとめられている主な項目は次の通りです。

 

  • 設備容量(Installed Capacity)
  • 発電量(Generation)
  • 技術別内訳(太陽光・風力・水力など)
  • 国/地域別の年次推移

 

参考:IRENA

 

再生可能エネルギー分野の企業が注目される理由

 

再生可能エネルギーの導入が企業価値に直結する

再生可能エネルギーの導入は、企業の持続性や信頼性を示す重要な指標になっています。脱炭素の取り組みはブランド価値を高め、ESG投資の対象として投資家からの評価も向上する。環境配慮が企業競争力の一部となったいま、再生可能エネルギーの導入は“選ばれる企業”になるための必須要素となりつつある。

 

「ESG投資」とは

Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの観点から企業の長期的な価値を評価する投資手法です。

パリ協定やSDGsで加速する企業の再生可能エネルギーへのシフト

パリ協定やSDGsの潮流により、企業には再生可能エネルギー比率の開示や削減計画が求められるようになりました。グローバルサプライチェーン全体で脱炭素化が進む中、企業は再生可能エネルギーの導入を避けられなくなっている現状があります。

こうした国際的ルールや社会的要請により、再生可能エネルギーは「環境配慮のオプション」から「企業の成長戦略の柱」へと移行しました。世界各国が一体となって企業の再生可能エネルギーへのシフトを後押ししている。

 

再生可能エネルギー事業に積極的に取り組む企業4選

 

エネルギー転換が進むなか、日本企業も再生可能エネルギー事業に本格的に舵を切り始めています。ここでは脱炭素社会に向けた新しいエネルギービジネスを展開している4社を取り上げます。

ENEOSホールディングス株式会社

ENEOSホールディングス株式会社は、自然エネルギーによる発電事業を通じて2050年のカーボンニュートラル実現を目指す方針を掲げ、従来の石油・天然ガス中心の事業構造から、再生可能エネルギーを主力電源に据える“総合エネルギー企業”への転換を進めています。

具体的には、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電といった多様な電源を組み合わせ、地域との共生を図りながら開発・運営を拡大しています。こうした取り組みにより、環境負荷の低減と新たなエネルギー価値の創出を同時に実現し、持続可能な社会へ貢献します。

 

参考:再生可能エネルギー事業 | 事業紹介 | ENEOSホールディングス

出光興産株式会社

出光興産株式会社は、2050年のカーボンニュートラル・循環型社会の実現に向け、多様な電源の開発と再生可能エネルギーの普及拡大を戦略の中核に据えています。再生可能エネルギーを重要電源と位置づけ、製油所跡地や遊休地を活用して発電所の開発・運用を国内外で進めています

さらに、農地と発電を両立する「営農型太陽光」や地域木材を使ったバイオマス発電など、地域とともに“地産地消+循環型社会”を構築する取り組みも進めています。

 

参考:出光興産

 

株式会社JERA

株式会社JERAは、東京電力ホールディングス株式会社(TEPCO)と 中部電力株式会社(Chubu EP)が火力発電部門を統合して2015年4月に設立された合弁企業です。社名「JERA」は “Japan’s Energy for a New Era” の頭文字を並べたもので、「日本から新たなエネルギー時代へ」という想いが込められています

2035年度までに再生可能エネルギーの開発容量2,000万kW(=20 GW)を目指す」と宣言しており、太陽光・風力・蓄電池など多様な電源を組み合わせたエネルギー転換を加速しています。まさに新たなエネルギー時代を切り拓く企業になりつつあります。

 

参考:再生可能エネルギー|JERA ゼロエミッション 2050|JERA’s ACTION

株式会社レノバ

株式会社レノバは、世界各国が掲げる脱炭素化と再生可能エネルギー導入拡大の流れを背景に、「様々な再生可能エネルギー発電所の開発・運営」および「GX(グリーントランスフォーメーション)事業」を通じて、地球規模の社会課題解決に挑んでいます。

さらに、発電所の開発においては地形・気候・社会・産業の条件を丁寧に見極めながら、地域・行政・パートナー企業との対話を重ね、地域との共生を重視する姿勢が見られます。

 

参考:事業概要 | 株式会社レノバ

 

再生可能エネルギーの積極的な活用を進める企業4選

 

再生可能エネルギーは、つくるだけでなく、どう活かすかが持続可能な社会づくりの鍵となります。ここでは、再生可能エネルギーを積極的に活用し、ビジネス価値へとつなげている企業の取り組みを紹介します。

AGC株式会社

AGC株式会社は「影響力のある企業活動を通じて、脱炭素社会の実現に貢献する」という明確な方針を掲げています。具体的には、製造工程で大量に使われる電力・燃料を見直し、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率改善を進めることで、2050年カーボンニュートラルを目指すという長期ビジョンを打ち立てています。

一例として、AGC株式会社ではガラス製造工程の溶解炉を電化・酸素燃焼化するなど、製造プロセスそのものを見直して低炭素化を進める取り組みなどを実施しています。

 

参考:気候変動問題への対応 | サステナビリティ | AGC

リコージャパン株式会社

リコージャパン株式会社は、再生可能エネルギーを「生み出す」側だけでなく、「使う」側として自社および顧客の脱炭素支援を重視している。具体的には、法人向けに再生可能電力メニューを提供しており、次に示すような顧客のニーズにあわせた複数種類を展開しています。

 

  • リコーRE100スタンダード(実質再エネ100%、CO₂排出ゼロを目指すこと)
  • リコー再エネスタンダード100(実質再エネ100%を目指すこと)
  • リコー再エネエコノミー30(再エネ比率30%を目指すこと)

 

参考:リコー

 

イオングループ

イオングループは、店舗運営を通じて大量の電力を消費する責任を自覚し、再生可能エネルギーの活用を脱炭素戦略の中心に据えています。具体的には、2020 年度に国内店舗で使用した年間電力量(約71 億 kWh)のうち、2030年までに50%を再生可能エネルギーに転換する目標を掲げています。

さらに、電力の再生可能エネルギー化は「店舗運営そのものを持続可能なものへ変える鍵」になっています。

 

参考:イオン 脱炭素ビジョン | イオンのサステナビリティ | イオン株式会社

 

味の素グループ

味の素グループは、製造工程から発生する温室効果ガス削減に積極的に取り組み、燃料転換や再生可能エネルギーの活用を重要な戦略としている。たとえば、バイオマスコジェネレーション(廃稲わら・籾殻等を燃料としたシステム)をタイやブラジルなど海外拠点にて導入し、化石燃料からの脱却を図っている。

このように、味の素グループは“食”という日常インフラを支える企業として、再生可能エネルギーと低炭素化の両輪で事業基盤を再構築しています。

 

参考:2030年度再生可能エネルギー比率50%実現に向けて~味の素(株)、本社、国内の営業拠点などで使用する全電力を100%グリーン電力化

まとめ

 

再生可能エネルギーは、ただ「環境のため」だけで語られるものではなくなりました。

企業が動けば地域も動き、技術が進めば暮らしもよくなる。そんな前向きな循環が少しずつ広がっています。エネルギーの未来は一気に変わるわけではなく、小さな選択や取り組みが重なって、やがて大きな流れになります。

これからも、どう生み出し、どう使うか。その積み重ねが、持続可能な社会をつくる力になるはずです。

 

update: 2025.11.15