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再生可能エネルギーとは?|メリット・デメリットや各発電方法の特徴を学び、日本や海外で導入されている取り組みを知ろう!

update: 2025.6.15

再生可能エネルギーとは?|メリット・デメリットや各発電方法の特徴を学び、日本や海外で導入されている取り組みを知ろう!

 

気候変動やエネルギー安全保障の問題が世界的な関心事となる中、化石燃料に依存しない持続可能なエネルギーとして「再生可能エネルギー」が注目されています。

本記事では、再生可能エネルギーの仕組みや種類、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説し、日本や海外で注目を集めた取り組みにも触れていきます

 

再生可能エネルギーとは

 

再生可能エネルギーの概要

気候変動への対応やエネルギー安全保障の観点から、世界中で「再生可能エネルギー」への注目が高まっています。再生可能エネルギーは英語で「renewable energy」と表します。化石燃料に依存しない持続可能なエネルギーとして、太陽光や風力、水力など自然の力を活かした発電方法が次々と導入され、その割合は日本だけでなく世界各国で年々増加しています。

日本の再生可能エネルギー電力比率は、2021年度で全体の約20.3%です。これは他国(特に先進国)と比較すると依然として低い水準にあるものの、着実に導入が進んでいることを示しています。日本の再生可能エネルギーは今後さらに成長していく産業であると言えます。

 

参考:7.再エネ|資源エネルギー庁

 

再生可能エネルギーが求められる社会的背景

再生可能エネルギーが求められる社会的背景は世界共通のものもあれば、日本特有の事情もあります。以下にそれぞれの背景をまとめます。

 

【世界共通の社会的背景】

  • 気候変動への対応(カーボンニュートラルの推進)

 地球温暖化の進行により、異常気象や海面上昇などのリスクが拡大していることから、CO2を大量に排出する化石燃料を用いた発電方法からの脱却が進んでいます。

  • 技術革新・コスト低下

 太陽光発電や風力発電のコストが近年の技術革新により低下し、世界中の様々な人にとって導入がしやすくなりました。

 

【日本特有の社会的背景】

  • 脱原子力発電への意識

 2011年に発生した東日本大震災では、その地震の影響により福島第一原発事故が発生し長年にわたり福島県内の様々なエリアが住民避難区域の対象となりました。原子力発電に対する国民の不安感から、「原発に変わるエネルギー」として再生可能エネルギーが注目されています。

  • エネルギー自給率の低さ(12.6%程度)

 日本は化石燃料のほとんどを海外から輸入しています。エネルギーの安定供給と価格変動のリスク軽減のため、自国資源で賄える再生可能エネルギーが注目されています。

 

参考:日本のエネルギー自給率は1割ってホント?

 

 

再生可能エネルギーのメリット・デメリット

再生可能エネルギーを用いるメリット

再生可能エネルギーの普及を拡大していくことには、多くのメリットが存在します。ここでは、再生可能エネルギーのメリットについて複数の観点からまとめます。

【環境】

  • 発電時に CO₂や有害物質をほとんど排出しない

【地球資源】

  • 自然の循環によって再生されるため、長期的に持続可能なエネルギー源

【経済面】

  • 技術革新により、導入・運用コストが年々低下

【安全保障】

  • エネルギーの地産地消により、国際的な燃料価格の変動リスクを回避可能

【地域活性】

  • 自治体が主導となる発電事業によって、発生した収益が地域に還元される

 

再生可能エネルギーを用いるデメリット

様々なメリットが取り上げられる半面、再生可能エネルギーにはデメリットも存在します。ここでは、複数の観点から再生可能エネルギーのデメリットについて取り上げます。

 

【不安定な供給量】

  • 発電量が天候や季節、時間帯に大きく影響される

【設置場所の制約】

  • 広大な面積や風の強い場所、大規模な水源などが必要な場合もある

【景観・環境への影響】

  • 風力発電時の騒音や、大規模な太陽光発電による森林破壊などの懸念

【設備の廃棄問題】

  • 太陽光パネルの寿命(20~30年程度)後の廃棄処理や資源回収の課題

 

様々な種類の再生可能エネルギー

近年では様々な自然由来の資源を活用した発電方法が考案されています。世界中で活用が進む有名なものから実験段階の発電方式(「準再エネ」「ニッチ技術」「派生方式」など)まで合わせると、その種類は10~15種類になります。

ここでは、広く世界中で活用が進む5つの再生可能エネルギーについて紹介します。

 

参考:なっとく!再生可能エネルギー

太陽光発電

太陽光発電とは、再生可能エネルギーの中でも最も広く知られ、世界中で導入が進んでいる発電方式です。主に「太陽光パネル(太陽電池モジュール)」を用いて、住宅の屋根や空き地、工場、さらには大規模な「メガソーラー発電所」でも活用されています。

太陽光パネルの中には、シリコンという半導体素材が使われており、これが光に反応して電子を動かす役割を果たします。太陽の光がパネルに当たると、半導体の中で電子が活性化され、電気(直流電流)が発生します。

 

風力発電

風力発電とは、風の力でタービン(風車)を回して発電する再生可能エネルギーの一種で、CO₂を出さずに電気を作れるクリーンな発電方法です。

風の運動エネルギーを使って風車の羽(ブレード)を回し、内部の発電機で電気をつくる仕組みです。風が吹くだけで発電できるため、設置場所として陸上だけでなく、海上での設置も可能です。

 

水力発電

水力発電とは、水の流れや落差を利用してタービンを回し、電気をつくる発電方法です。世界中で古くから使われており、再生可能エネルギーの中でも最も安定し、大量発電が可能な方式の一つです。

太陽光発電や風力発電とは異なり、天候に左右されにくく24時間発電が可能であることや、ダムにおける水の流量調整が瞬時に可能でありその時々の電力需要に素早く対応できることが水力発電のメリットです。

地熱発電

地熱発電とは、地球の地下に蓄えられた熱エネルギー(地熱)を利用して発電する方式で、再生可能エネルギーの中でも非常に安定して稼働できる点が特徴です。

水力発電と同様に天候に左右されず24時間発電が可能であることや、地域資源を活用できることからエネルギー自給率の向上に期待される発電方法であることがメリットとしてあります。その一方で、地熱発電を進めるにあたり、十分な地下資源を見つけるための大がかりな調査や発掘を必要とするデメリットも存在します。

 

バイオマス発電

バイオマス発電とは、木材、家畜のふん尿、食品廃棄物、農業残渣(ざんさ)など、動植物由来の有機物をエネルギー源として利用する発電方式です。再生可能エネルギーの中でも「カーボンニュートラル」が特徴の発電方法です。

バイオマス発電に利用されるバイオマス資源には、以下に示すようなものがあります。地元の資源を活かした、地域循環型モデルの発電方法として期待が高まっています。

 

木質系

  • 間伐材
  • 製材くず
  • 建築廃材
  • 木質チップ など

廃棄物系

  • 生ごみ
  • 食品残さ
  • 紙くず
  • 下水汚泥 など

家畜系

  • ふん尿
  • 汚水(主にメタン発酵に利用)

農業系

  • 稲わら
  • 麦わら
  • もみ殻
  • サトウキビかす など

国内|再生可能エネルギーにまつわる法律や制度

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

私たちの生活に身近な再生可能エネルギーに関する制度として「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」があります。これは、私たちが電気料金として毎月支払っている中に含まれている再生可能エネルギー普及のための費用です。

この制度は2012年から始まった「固定価格買取制度(FIT)」とも大きなつながりがあります。再エネ(太陽光・風力など)でつくられた電気を、一定期間(例:20年)にわたって高い価格で電力会社が買い取ることが義務付けられ、この「高く買い取った分の差額」を電力会社の負担ではなく、国民全体で負担するという仕組みです。

 

参考:賦課金減免制度について (概要資料)

 

東京都「太陽光義務化」支援制度

東京都では、2025年4月から新築住宅等への太陽光発電設備の設置を義務付ける制度が始まりました。 この制度は、都の温室効果ガス排出量削減目標「カーボンハーフ(2030年までに2000年比で50%削減)」を達成するための取り組みの一環です。

この制度によって太陽光パネルの設置が義務化されることにより、様々なハウスメーカー等で再生可能エネルギーを意識した住宅のラインナップが拡充し、脱炭素社会への貢献が期待されています。

 

参考:地球環境・エネルギー|東京都環境局

海外|再生可能エネルギーにまつわる法律や制度

 

再生可能エネルギーに関する取り組みは世界各国で進んでいます。ここでは、海外で施行されている法律や制度について紹介します。

 

ドイツ|再生可能エネルギー法(EEG:Erneuerbare-Energien-Gesetz)

ドイツでは、国内で使用される総電力の約50~55%を再生可能エネルギーで賄っています。再生可能エネルギー法とは、ドイツが再生可能エネルギーを本格的に普及させるための中心的な法律です

初版は2000年に制定され、時代の流れに合わせて柔軟にその内容は変化し、何度も改正されています。ドイツでは今後2030年までに国内の電力供給における再生可能エネルギー比率を80%まで高めるなど、高い目標を掲げています。

 

参考:再生可能エネルギー拡大へ関連法改正案を閣議決定(ドイツ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

 

アメリカ|インフレ抑制法(IRA:Inflation Reduction Act, 2022年)

2022年、バイデン政権の下で可決されたアメリカの「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act, IRA)」は名前だけ見ると物価対策の法律のようですが、実は「アメリカ史上最大級の気候変動・再生可能エネルギーへの投資法案」でもあります。

インフレ抑制法の中では、再生可能エネルギー普及のための補助・優遇策が多数盛り込まれています。ここで最も注目するべき点は、その大胆な予算編成にあります。インフレ抑制法における総予算規模が約4,300億ドル(約60兆円)である中、そのうち、約3,700億ドル(約52兆円)が気候変動・クリーンエネルギー関連です。

 

参考:インフレ抑制法 | 日経ESG

中国|再エネ証書制度(REC)

中国の再生可能エネルギー証書制度は、国内外の再エネ利用を促進するための重要な仕組みです。「グリーン電力証書(GEC)」と「国際再生可能エネルギー証書(I-REC)」の2つの制度で構成されており、特にGECは、国内政策と連動し、再エネの導入拡大を支える役割を果たしています。

これらは、再生可能エネルギーの導入促進や環境価値の可視化を目的としています

 

参考:中国における脱炭素に向けた取組・方法に関する調査

 

まとめ

再生可能エネルギーは、私たちの暮らしや地球環境にとって欠かせないエネルギー源として、これからの社会を支える大きな柱となっていきます。太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった多様な発電方式には、それぞれの特性や課題がありますが、それらを理解し活用していくことで、脱炭素社会やエネルギー自立に近づくことができます。今後は、制度の充実や技術革新、そして市民一人ひとりの理解と行動がますます重要になっていくことが考えられます。

 

update: 2025.6.15